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手作りスピーカー しょの7

「手作りスピーカー しょの7」
line up 07 feb2.JPG
07年2月のスピーカーのラインアップです・・・。手作りのバックロードホーン・スピーカーが中心です・・。

『しょの7』は図面だけのご説明です。
ご興味ない方・・・本当に申し訳ございません・・・。この回で一応、当面のお伝えしたいネタ?は終了ですので・・。ご辛抱をお願いいたします・・・。

今までは、作ったスピーカーの話をしてまいりました。
実際は、この他にも代行製作的に、友人に頼まれて作っただけ・・のモノもございます。
また、設計はしたのですが、場所の問題や、お金の事など、結局設計だけで終わっている図面も結構、多数ございます。

そこで、今回はその図面だけをご紹介いたします。
たいしたお役にも立たないことと思いますが、ご参考になれば幸いでございます。
また、一部に長岡先生の設計を土台にさせて頂きながら、意図があって「改」として、設計を変更をしている物もございます。
ご了承いただければと思います。

(1)D-102 改スーパー4
長岡先生のブックシェルフ型バックロードは小生、とても好きです。で、色々作りましたが、まだやり残しがございます。
10cmの強力型ユニット、FE108ESⅡ用のブックシェルフをまだ作っておりませんのです。
それの図面がD-102の改スーパー4です。(また勝手な命名でごめんなさい)
この「改」は、実は図面段階でだんだんに4種、検討して修正してきておりまして、現在は4つ目の図面なのです。で、スーパー4(すうぱあよん)と言っております。 オリジナルのD-102との比較では、音道のスロート部のはじめから、悩んだ結果の形になっております。全体のサイズも一回り大きくなり、ブックシェルフとしては、相当大型になってしまいました。
ホーンの開口を正方形以上に確保して、後は空気室容量への配慮とスロート周辺の板材の使い方、ホーンの取り回し方、音道の補強材の入れ方・・・などに小生なりの工夫がチョットだけあります。
これは、ブックシェルフを色々作った反省を込めていますので、きっと作れば結果は良いだろうと思っています。
小生、口径10cmのバックロードは現在持っておりません。スーパースワンを手放していますので、いつかは作りたいスピーカーなのですが、CW形で行くか、ブックシェルフで行くか、トールボーイ前面開口のスワンタイプで行くか・・・大変悩んでおり、それを楽しんでいます。

・D-102 改スーパー4 図面1
・D-102 改スーパー4 図面2

(2)10cmトールボーイ・スワンタイプ
スワンの音を、前面上部開口でトールボーイ型で実現したい・・・と考えた設計したものです。非常に板材を多く使いますが、強度の高い良い箱になるとは思います。
砂利や鉛を入れるスペースも設けた設計です。これも出来れば作って検証してみたいのですが予算と場所が問題です・・・・。

・10cmトールボーイ・スワンタイプ 図面1
・10cmトールボーイ・スワンタイプ 図面2
・10cmトールボーイ・スワンタイプ 図面3

(3)D-118 改 前面の平面を解消したものこれは殆どD-118なのですが、正面からの顔をD-37などと同様に彫りを深くしたくて改造したものです。音道は短縮になっていますが、途中の広がりは工夫して確保しています。音はそれほど変わらない??のではないか??と思っています。
格好は正面からの様子が・・彫りが深く、こっちの方が良いと個人的には思いますが・・・。

・D-118 改 図面

(4)8cmミニ・バックロードホーン・スピーカー自分でも8cmを設計してみました。どうなるのか??は不明です。作ってはいません。
でも顔はやはり階段状のパーツなどバックロード風にしております。
バックロードらしいデザインと設計の計算からすると、結構良好な音になるのではと思いますが、先日のミニバックロードの方が作りやすさの点で優れていると思います。
こちらの図面のミニを選択する場合は、「らしいデザイン」と「ホーンが長くて、より低音に期待できそう」ということが決め手になると思います。(最近の勉強から考察しますと、空気質の容積が少々大きいのではないか?という点と、スロートが大きくないか?の2点が気になってはおります)

・8cmミニバックロード 図面

02-27-07 09:45 | 先頭へ↑

手作りスピーカー しょの6

「手作りスピーカー しょの6」
申し訳ございません。シリーズ第6弾?『しょの6』でございます。
ご興味ない方・・・本当に申し訳なく思います・・・。
今回はスピーカーの手作り「偏」の6回目でございます。


前回までに、
①D-101S(スーパースワン)からはじまり、
⑥FE88ES-Rのトールボーイ型バックロードホーンスピーカー(オリジナル)まで書きま
 した。そこで、今回は残った手作りスピーカー(小物など)をまとめてご紹介いたします。
 (作ったもののご紹介は、これが最後です。この後、図面だけのモノをご紹介いたしまして
  当面の最後回といたしますが・・・。)

長い間、本当にすみませんでした。

で、今回の内容は、
(1)D-37ESというD-37のMAKIZOUさん仕様のESバージョンのご紹介
  こちらは口径16cmのCW型バックロードホーン・スピーカーです。
(2)FE83Eという定番の(普通の)口径8cmスピーカーを使ったミニバックロードホーン
  (たぶん静岡に在住?の方が、ネットに公開して下さっているバックロードの図面の通り製   作したものです。ミニでも音は良いです・・。)
(3)長岡先生のBS-28という評価の高いバスレフ型のスピーカーの若干の設計
   変更・ユニット変更のバージョン。
(4)ミニミニ・テレビサイド用バスレフ 8cm
shugou blh.JPG
3台の写真です。D-37ESとBS-28改、(D-99(改)ES-R)がありました・・。
      
の4点が主なメニューです。
では、まず

(1)D-37ESです。
長岡先生のD-37は、9年程前に2台目のバックロードホーン・自作スピーカーとして作り、大変気に入って使っていました。しかし、その後(2005年くらいに)FOSTEXさんから、使用していたFE168SSというユニットの次世代版となるFE168ESという超強力ユニットが登場しまして、小生の心を揺さぶりました。この新ユニットが気になりました。
音も相当良い。低音が出る・・。高域も延びている・・・。など、欲しくなる話でした。
なんとかコイズミ無線さんでこの新ユニットを予約して、真鍮リングと共に購入し、準備を始めました。

ですが、D-37のエンクロージャーをそのまま流用して、ユニットの交換だけをやっても、この新ユニットの能力を引き出せないと言う雑誌記事などが参考になり、箱から作らなくてはダメだなぁとも思っていました。

ネットなどで調べて検討・勉強しますと、FE168ESを使いこなす処々の方法がありましたが、小生は広島の「MAKIZOU」さんのD-37ES版をシンプルで良いな・・・と思いました。
MAKIZOUさんでは従来のD-37の幅だけを20mm?広げて、後は全く同じと言うD-37ESを用意していらっしゃいました。
小生はこれを注文しました。例によってスーパー・シナ・アピトン材の15mmでお願いしました。
届いたのは相当前(1年以上?)ですが、製作する意欲のダウンや仕事の環境変化・・また、スーパースワンなど他のスピーカーを売る決心がつかず、従って、作っても置き場所が無いなど・・重なりまして、作らずに材料のまま、ずっと置いておいたのです。

結局2006年の秋になって、スワンや他のスピーカーを売る決心がついて、スペースも空くので、めでたく??D-37ESの製作開始となりました。

組み立ては長岡先生の『こんなスピーカー見たことない(一刊目)』という本に詳しいです。
幅が20mm広がっただけですから、こちらをご覧くださいませ・・。

組み立て式、通りに作りました。このESでは面倒な三角材は入れていません。
一部で三角材は入れないほうが低音が出る・・・などの話もあり、今回は入れないでやってみました。正直に言えば、この頃、製作の「根気」が落ちて・・・いましたし・・・。
写真がありますので、ご覧ください。
D37ES up.JPG       D37ES buffle.JPG
完成してトゥイーターT900Aを乗せました。  バッフルの裏を加工しています。
D37ESotomichi1.JPG D37ESotomichi2.JPG
音道の中もステインで事前に着色します。       三角材はつけていません。
D37ESotomichi4.JPG D37naibu up.JPG
空気室下の空間はミクロンウールを充填     音道の平面に白の3mmフエルトを・・・

組み立て前に油性のオイルステイン(メープル)で着色し、組み立て後、2液性ウレタンのクリアで3回ほど、ガン吹き塗装をしています。
このD-37ESでは吹き付けたままで、スプレーのツブツブを消しておらず、コンパウンドでは磨いておりません。
ツヤツヤではなく「しっとり」した光沢にしています。磨くのは後からいつでも磨けますので・・・塗料を吹き付けたまま・・に敢えてしています。これはこれで味かなと思いまして・・。
(最近、チョットだけ磨きました・・・。)
肝心な音ですが・・、やはり迫力があってハイスピードで飛んできます。
小生のレベルの耳では家庭用としてこれ以上は不要では?と思うほど、音離れ、抜け、切れ、粒立ち・・などが良いと思いました。・・・何を聞いても「凄い」のです。聞き込むと少々疲れるくらいの情報量ですし・・・。

しかも、エージングという概念はあまり関係ないみたいで・・・もちろん一ヶ月程度でユニットの馴染みが出て、さらに素直というか、角が取れるといいますか、柔和?に・・良くはなりますが・・・、鳴らしはじめから、しっかり低音が出ており、大変驚きました。
低音感は従来のD-37のFE168SSというユニットの時とは、比較にならないくらい、しっかりありました。

8.5cmのFE88ES-Rとは異なり、低く沈み込んだ音域から低音が出ており、音楽全体の重心がしっかり下がって安定する感じです。
特筆はバランスの良さでしょうかね・・・。上も出ていますし・・・。
ただしトゥイーターは必要だと思いますですが・・・。

アナログの再生とのマッチングも良いようで、音にうるさい方で、元PCM音楽放送局の方が拙宅に遊びにこられた時、アナログでビートルズのレット・イット・ビー(ネイキッド版)を聴かれ、ご本人曰く、「不覚にも涙が出た」と泣きながらおっしゃった・・ことがありました。
ビートルズがこんなに良い鳴り方で、きちんと音が出ているのは珍しいことで、久しぶりに驚いたんです・・・とのことでした。

小生はそれほど耳に自信がありませんがうれしい話でした。
ちなみに小生は、もうオッサンで年ですが、モスキートーンは宇宙人のレベルは無理なものの、その手前までは全部聞こえます・・・。何の参考にもなりませんで・・・すみません。

(2)FE83Eのミニバックロード
ネットを見ていたら、おそらく静岡?にお住まいの方が、ミニのバックロードを設計され、図面を公開されておられました。一見して良さそうに思える合理的な設計で、「これは良い」と作ってみました。
何ら変更していません。図面どおりです・・・。
http://www2.tokai.or.jp/livesteamloco/index.htmがその方のホームページです。
オーディオと言う項目の中に図面がありました。
有難うございました。作ってみました・・。

作ってから、下地に「との粉」を水で溶いて、少々(水5にボンド1くらい)木工ボンドを加えたものを塗り、目止め(塗料が染み込み過ぎないように)をして、さっと紙やすり(400番)で表面をサンディングしました。これで塗装の下地はできます・・。・・面倒でしょうか?
それから水性のウレタン塗料のメープルカラーを完全に乾かないうちに、3回ぐらい重ねて塗っただけです。
会社でチョット聞く用に使っています。十分良いです。小さくてもバックロードのピュアな感じはありますし・・・。
もちろん、組み立てに際しては、ユニット固定に爪つきナットを使うなど、小生の組み立て方は踏襲しています。
カワイイし、これは意外なほど良い音です。写真が、組み立て途中の様子からありますので、ご覧ください。ご参考に・・・。
mini BLH naibu1.JPG mini BLH naibu2.JPG mini BLH naibu3.JPG mini BLH.JPG
ミニでも一応バックロードらしく、ホーン開口部に階段状の音道があります。

このスピーカーは意外に十分良くて・・・かえって考えさせられます・・・。
これでも良いのではないか・・・と。
じっくり聞き込まなければ、低音の沈み込み不足などの欠点も大して感じませんし、破綻も感じません・・・。複雑な思いです・・・。
フルレンジスピーカーというのはそう言うものなのでしょうね・・・。まとまっているんですね・・・。

(3)BS-28改造版の製作
これがバックロード好きの小生にしては、珍しい?と言いますか、初めて挑戦した
バスレフ方式の2ウェイ・スピーカーです。
キッカケは月刊ステレオさんの記事でした。

BS-28は侮れない凄いスピーカーで、長岡先生の傑作、「モアイ」と言うスピーカーの片鱗を感じるような音・・・とか。
それを読んで、小生いつかは作ろうと思っていました。
しかし、時は流れ、流れて・・。

FOSTEXさんの、このスピーカー用のユニットが廃盤になってしまいました・・・。もうオリジナルと同じユニットが入手できませんから、作れないのです・・・。

で、ガッカリしていたのですが、ある時ふと遊び心が湧いてきました。
台湾製の安価なユニットですべてを置き換え、非常に安価に作ると言う風に目標を置き換えたのです。面白そうですから・・・。

このスピーカーは片側にウーハー2個左右で4個 トゥイーターも片側に2個左右で4個使います。つまりユニットは8個・・・。
でも台湾製。ウーハーもトゥイーターも1個2,980円でした。激安ですね。
で、片側11,920円でユニットが揃います。
(最近ですとトゥイーターがネオジウム磁石で970円と言うのもあります・・ますますこの手の改造では・・・ねらい目ですね)

それで、左右でもその倍23,840円。ベニヤは15mm厚のシナ合板で1枚6千円くらいでしょうか?板も相当、余りますが・・。

小生はトゥイーターを一段落として、表面上は面一な感じで埋め込むために、バッフル版は
15mm厚のシナベニヤの上に、4mmのシナベニヤを重ねています。4mmのシナベニヤを入れても、板代は安いですが・・・・・・。
(段落ち・・にするには、素人は「彫る」より、「貼る」・・にしました。写真でご確認ください)

この設計の特徴は、ネットワークにアッテネーター(可変抵抗・ボリューム)が無い、長岡式なことです。
つまり8Ωのウーハーを並列の結線で4Ωにして使い、8Ωのトゥイーターを直列の結線で16Ωにして使います。
バランスとして、ウーハーに沢山、信号電流が流れますから、ブーストしたことになり、トゥイーターへの入力は電流が減ってパワーを下げることになり、結果的に低音アップと高音ダウンを果たし、アッテネーター(ボリュームつまみの事です)無しで音のバランスが取れる・・十分な低音を狙う・・・と言うネットワークを嫌う長岡先生らしい面白い工夫と設計なのです。

ですので、ネットワーク回路のパーツもウーハー用のコイルとトゥイーター用のコンデンサだけです・・・。
このスピーカーは、確かに月刊ステレオのオリジナルとは、ユニットも台湾製で異なりますし、箱のサイズも奥行きを20mm増やしたりと、遊んでいますので、なにかと違いますから、なんとも言いにくいですが、特徴は似ている様ですし、「なかなか良い音で、これはこれで十分」でした。

正確に、正直に言いますと、バックロードホーンを聞かなければ、これはこれで、何の不満も感じない、とても良い、メインにさえなれるスピーカーだと思いました。

その後、小生はこれを2WAYスピーカーの代表例のような感じで扱っています。
専用の台も作りました。

置く位置を耳の高さに合わせたら、このスピーカーのかなりの能力が初めて分かりました。
音場感が、かなり良い・・のです。
バックロードホーンの自作の時に、聞き比べる対象にも使っているのです。なんとなくですが、このスピーカーは小生から見て、妙にまとまった音質で、市販品っぽいなぁ・・と言う感覚もあるのです。
バックロードとの比較で、不満を言えば、トゥイーターの力がまだ少々強く、若干、低音不足気味に感じると言うことでしょうか。
精細・精緻な音で、音場が縦に高く、また横にも大きく広がるようにできる感じで、仮想同軸型の特徴でしょうか・・・独特なイメージがあります。

これは好みの問題もあるでしょうが、「相当良くて侮れません」。

明瞭な音の感じが好きな方には、おそらく堪らない魅力?ではないでしょうか・・・。
価格を考えたら、この程度の低音不足の話は言ってはいけない・・・欲張りすぎな要求なのかもしれませんが・・。
と言いますのは、ユニット片側4個のお値段はD-99ESRの真鍮の「リング代1個」とほぼ同じ(やや安い)ですから・・・。
まあ激安ですが・・・これは面白いスピーカーです・・。・・・・写真がございます。
bs28.jpg台湾のユニット(ウーハー)のポリプロピレンの透明コーン
                          が見えます。中が透けて面白いです。
BS28 up2.JPG BS28 buffle.JPG
完成写真とバッフル。トゥイーターを一段落として平面的に取り付けたいので、二重構造です。ユニットの円が上手に切れていません。円がガタガタです。寸法のミスや、やり直しで汚くなりました。
BS28 naka.JPG BS28 buffle ura2.JPG
内部のバスレフポート・・簡単な構造です。   バッフル裏の爪つきナットの写真
BS28 setchaku.JPG BS28 box complete.JPG
箱の接着と内部のネットワーク配線、吸音材の貼りこみで、箱は完成です。後は仕上げ・・・
との粉とサンディングで下地の調整をした後、
水性のウレタンニスをさらっと塗ってみました。

・BS-28改造版 図面

(4)FE87E使用のミニミニ・テレビサイド用バスレフ
これは自宅の14インチのテレビの横に置くための防磁型ユニットのバスレフです。
図面もありますが、何の事は無い、普通のスリット型ポートのバスレフでございます。
よろしければ、ご参考に図面と写真をお使いください。
水性のニスを塗って手軽に使っていますが、じっくり聞いてみますと、やはり血統は争えないといいますか、FE88ESRに近い音質を「ちょいと」・・・感じます。
FOSTEXは、FOSTEX・・なんですね。
まあコーン紙など似ていますからね・・・。
人によっては、FE88ESRと大して変わらない・・・などとも言います。ただのバスレフですが、結構これ、鳴らすと鳴ります。
侮れませんです・・・。
大きな音を出さなければ相当良いのです。

こじんまりと小音量で聞くなら、十分な性能があるのが、FOSTEXさんの8cmフルレンジだと思います。
8cmは良いです。トゥイーターが不要ですから・・・。
写真をどうぞ・・ご覧ください。
bouji bassref.JPG bouji bassref2.JPG
下地は定番のとの粉です。塗料は水性のウレタンニスです。乾くと水を弾くので、やや濡れたうちでないと塗り重ねが利きません。
簡単に仕上げができますが・・・。そこそこ?のできばえが限界ですね。

・FE87E使用のバスレフ 図面

02-26-07 15:12 | 先頭へ↑

手作りスピーカー しょの5

「手作りスピーカー しょの5」
まだ続いておりますシリーズ第5弾?『しょの5』でございます。
いつも大変申し訳ございません。
ご興味ない方・・・まことに申し訳なく思います・・・。
今回はスピーカーの手作り「偏」のとうとう5回目であります。
前回までに、
①D-101S(スーパースワン)から
⑤D-99ES-R(FE88ES-R用 ブックシェルフ型)小生の図面あり・・・の話まで書きました。
そこで、今回は、
⑥FE88ES-Rのトールボーイ型バックロードホーン(オリジナル)について・・を書きます。

そもそも、このトールボーイの設計は3つの理由で始めました。
前回同じスピーカーユニットで製作したD-99ES-Rがお嫁に行ってしまった。(とても寂しい)

それでも、好きな音のユニットだったので忘れられず、どうしてもまた聞きたい。(相当にお気に入りのユニットです)コレをなんとかオークションで入手できましたし・・・。

現スーパーエース・スピーカーのD-37ESは素晴らしいのですが、トゥイーターを使いますので、高音域にホーントゥイーター独特の癖(やや刺激がある)はあります。

また、良いスピーカーですが、情報量が多すぎ、大変「強い音」なので、楽しいけど疲れる・・・ので体力が要ります。それで、普段、気楽に聞く小型スピーカーも欲しい・・・のです。

しかし、作るとなりますと、また同じFE88ES-Rというユニットを選択して作るのでも、従来と同じ設計ではなく、さらに言えば根気・根性のいる砂充填のスタンドが不要な設計のバックロードにしたい!!とも思いました。

そこで、スタンド不要といえばトールボーイ(背の高いスピーカー)です。もちろんバックロードホーンで・・。
このようにして、オリジナル設計の、トールボーイ型、バックロードホーン・スピーカーを手作りしようという考えになりました。

tallboy kansei1.JPG tallboy kansei2.JPG

板材の取り都合(とりつごう)からして、設計以前に高さは90cmでほぼ決定です・・・。さてさて、どうなりますか・・・。バックロードは作ってみないとわからない(長岡先生のセリフです)スピーカーの代表ですから・・・・。

それでは、早速ですが・・。
口径8.5cmの大好きなユニットを使用した、トールボーイ型オリジナル・バックロードホーンの製作です。
まず、ユニットの復習から・・。FE88ES-R。このユニットは何と言っても40khz(キロヘルツ)まで延びた高域のさわやかさに特徴ありです。本当にトゥイーターが不要で、これが大変・大変、大きなメリットだと思います。
さらに、今回は、このユニットのスペック表から特にQ0(キューゼロ)を気にして再設計してみました。
このユニットは強力という話とは裏腹に、良く見るとQ0は意外に大きいのです。
10cmの限定生産のユニットで0.23(FE108ESⅡのQ0)
8cmの限定生産のユニットでは0.31(FE88ESのQ0)
で、このFE88ES-Rでは0.46です
数字が大きくなるとバックロードでなくても、バスレフなどでも使える、マイルドなユニット・・と言う事になるようです。

ですので、絞り率には少々考察が必要と思ったのです。
実際、ES-Rの時、特定のCDの一曲位ですが、低音の強いパルスの入力には「弱い」のを感じていました。
音がボコボコ言う感じになるのです。

いままでの勉強からしますと、Q0が小さい超強力ユニットのバックロードの設計ですと、絞り率90%とかでOKで、あまり絞らないでも良いようだったのですが、こう言うQ0が大きいマイルドな特性のものは、70%くらいに絞り込んだ方が良いのでは?という考えを持ちはじめました。

スロートを音が通過する時のプレッシャーで、ユニットのコーン紙が動きすぎてしまうのを防ぐ感覚です。空気バネで動き過ぎを止める!!とでも言いましょうか・・・。そう言う設計をしようと思いました。

1.設計の留意点・・
一応、小生の計算の内容をお話ししておきますと、まずスピーカーの後ろの部屋の大きさ・・・→空気室の容積を(D-99の1200ccをガイドラインにしつつD-99ESRの経験から)1400ccに設定しています。
低音時のユニットのバタつきを抑える意味で、非常に感覚的な事を頼りにした設計で恐縮なのですが、大きすぎない1400ccです。
この後、検証するとしたら1300ccくらいがどうか?が気になりますが・・・。
(実際2月18日現在の状況では100cc程の木のブロックを一つ入れ、計算では1300cc程にしており、結果は良いように感じます。さらに、もっと体積を小さくする時は、ウッドブロックにフエルトをまいたもの等を追加し、空気室に放り込めば完了で、簡単です。体積を増やすのは殆ど不可能ですが、縮小するのは粘土の塊など、何か物を入れるだけでも出来ますから・・・それで大き目の提案が安全と言うことになります。)

ちなみにFOSTEXさんの、このユニットの説明書に示されてある、バックロードホーンの設計(例)では空気室1200ccで、スロート面積30平方センチです。

長岡先生のD-99では1200ccで良い結果でしたが、少々大きい8.5cmのこのユニットでは、空気室も少々大きくした方が良いのでは?と思っております。

次に難しいのはスロート(ラッパの入り口・・の面積)の絞り方です。
スピーカーの振動板面積の何%にスロートを絞るか?が大変重要なのですが、小生は当初の設計では84.7%くらいにしていました。
どうも、この位が良いのでは?と言う事で暫定的に採用した数字なのですが、このユニットは意外にもQ0(キューゼロ)が大きく、噂に聴くよりは、超強力ではない特性で、バスレフ方式でも使えるくらいなので、スロートは70%位の絞り方でも、低音でユニットのコーン紙が暴れずに済んで、かえって良い結果の可能性が高い・・と考え直しました。
実際に小生の実験では、スロートを26.4平方センチ、絞り率71.7%まで絞り、聴感上は好ましい結果を得ています。(小生は測定用の機材を持っていません・・・聴感の話ですみませんです)

throat.JPG
(この写真のスロート部に、調整後、さらに1枚、4mm厚のシナベニヤを加えています。バッフル板の裏側からは打ち込んだ爪つきナットが4個見えます。空気室の下のデッドスペースにはミクロンウールをギッシリ詰め込んでおります。)

後はホーンのカットオフ周波数を、よく採用する24ヘルツ・・に設定して、計算したとおりのホーンを箱の中に組み込んでいます。
スロートから何センチ進んだら、スロートのホーン断面積の何倍・・・1.3倍とか・・になるかを計算していきます。(早見表があります)
設計上留意したのは以下の点です。

A.スリムでホーンの開口部をユニットに近い上部に持ってくる!!
B.音道の中のデッドスペースには板材を贅沢に投入し共振を防ぐ

(と言っても、板取り上は3×6定尺合板2枚から、すべてのパーツを切り出せ、問題なく収まっていますので、補強には目一杯板を使ったほうが効率が良いのです・・。)
C.開口部周辺や底部には、板材の2枚重ねと3枚重ねをおごり、強度を上げる
D.三角材として、10cm角材の半割を、2箇所は必須として、低音の吐き出しをスムーズにする

です。

しっかり低音を出すためには、ホーン開口部周辺の贅沢な補強が必要と感じております。

図面をご覧下さい。

・FE88ES-Rの
トールボーイ型バックロードホーン(オリジナル)図面を表示

組み立て時の写真は、設計の修正前で、小生の自宅用のものです。
ですから、ホーン途中の板材の塊のような⑫~⑯の部分の枚数変更(写真で4枚を3枚に変更)や、開口部の下側の板材の枚数変更(写真で2枚を3枚に変更)をしたりしています。

設計変更後の「図面」を「正」としてくださいませ。

作った後に気が付く補強の合理性・・・などで、あくまで良い方向に、少々設計の変更をしているからです。

2.板材の手配
板は15mm厚で、広島のMAKIZOUさんに、お店のオリジナル素材である、スーパー・シナ・アピトン合板で、オーダーカットをお願いしました。
MAKIZOUさんにオーダーカットをお願いするのは、D-37ESの時に続き、今回で2回目ですが、本当に素晴らしい精度と情熱で対応していただけます。

梱包の丁寧さや、組み立てを意識したカット寸法のアドバイス、パーツの同梱の配慮など・・・愛情までを感じさせるお仕事ぶりです。本当にいつも感心いたします。
MAKIZOUさんでは、丸い穴も四角い穴も開けてくれますので、送って頂いたら後は丁寧に組み立てるのみです。

今回は側板にはネジを打ち、強度を充分出し、美的な面では、ネジを隠すように、その上から3mmのシナベニヤで化粧をする方法をMAKIZOUさんとご相談して選択しましたので、木口テープは3mmのシナベニヤを貼った後からしか、貼れません。
そのため、木口処理の加工はセルフサービスでやりました。
でも難しくありません。G17などのゴム系ボンドを木口に塗って乾かして、その上から初めからのり付きの木口テープをドライヤーなどで温めてから剥離紙をはがして、貼るだけです。出っ張りはカッターで切り取ります・・。
15mm幅の木口テープはMAKIZOUさんから購入しました・・・・。
側板用の20mm幅のシナの木口テープは東急ハンズさんで買いました。(側板は15mm+3mmです)

3.パーツ確認と下準備
パーツをそろえて過不足を確認し、組み立ての開始です。
まずは、寸法の確認からです。
音道構成パーツはすべて幅120mmです。
平らな板の上で、120mm同士のすべてのパーツを背比べするようにきっちりくっつけて揃えて見ると、狂いがある物が出っ張ったりします。この段階で出っ張るパーツにカンナを掛けたり、ヤスリで削ったりして綺麗に均しておきます。これはコツです。後々の組み立てが楽になるので是非やっておきたいものです。(MAKIZOUさんのカットでは、誤差のあるパーツは、一つもありませんでした・・・凄いです。)
事前の準備としては、さらにフロントバッフル板に、裏側からスピーカーの取り付け用の爪つきナットを打ち込んで、つけておきます。

この程度の小型のスピーカーユニットでは取り付けるネジは4mmを使います。従って爪つきナットも4mm径用です。(爪つきナットは8個入って100円くらいです。)

取り付けは、この爪つきナットの外形が5.5mmくらいですから、ドリルの穴は5.5mmの穴となります。穴の位置は図面的にも割り出しますが、早いのは現物での確認です。
穴の中心を出すためには、穴を開けて切り離した丸い不要な部分を中心に入れて、中心からネジまでの距離をコンパスで墨付けしてから、丸い部分を外し、穴にユニットを置いて、ユニットの取り付け用の穴にコンパスの線が見える範囲で、キリでチョットだけ穴を開けると安心です。(MAIKZOUさんからはこの穴の内部の丸い板も送られてきます・・ご安心を)
・・・この墨付けと現物あわせの併用をやりますと、ユニットがバッフルの穴に対して偏ってしまいませんし、寸法のミスも現物で確認可能ですから安心です・・。
爪つきナットを打ち込みますと、実際はユニットの丸い開口の内側の部分に、ナットの一部(金属の針部分)が少々が出っ張る筈です。

これはナットを打ち込んだ後で、ヤスリで削ります。

木口テープも大部分は事前に貼ります。
①の上下、⑰の上、⑳から(22)の上、⑯の上側・・を先に貼っておきます。
側板(23)(24)の周囲は、組み立て後に貼り付けます。

bond1.JPG bond2.JPG
ボンドを指で塗り伸ばし、乾燥後、温めた木口テープを貼ります
koguchi1.JPG kobuchi2.JPG koguchi3.JPG stein.JPG
                           ステイン着色後のパーツを並べて乾燥します

その他の準備では、今回は組み立て前に着色をしています。
メープル色のオイルステインで、見えそうな範囲の音道内部からその周囲、さらに3mmの側板の化粧板など、すべて塗っておきました。
ステイン塗装は刷毛で塗ったら、すぐにきれいなボロ布・・でふき取り、ムラにしない・・という塗装方法です。
⑳の裏側や三角材にも着色が必要です。
シナの木口テープの後加工の部分にもステインを塗ります。
テープには何故か色が付きにくいので、木口テープだけはステインの2回塗りをしますと、周りの部分との色合いが揃います。

tanshi.JPG wire.JPG
端子に半田付けしたコード                組み立て時の端子の取り付け

さらに、スピーカー端子を⑰の上部に取りつけておきます。
2個の穴(10mmくらい)に、あらかじめ半田付けしておいたスピーカーコードを通し端子を木ネジで取り付けておきます。
穴の位置は⑰の上端から35mmくらいが穴の中心になる感じです。
使うスピーカーコードは、何しろ長めが肝要です。
コード自体は38.5cmの箱の後ろ側にあるスピーカー端子から出て、バッフルの穴を抜け、箱の上に乗せたユニットの半田作業などの余裕を見るのですから、80cmくらいの長さで良いと思います。

4.組み立て・・音道から・・
一応、組み立て式を書いてありますので、その通りに組むのが無難です。
初めての方は、側板(23)の上に①~(22)までを並べ、まずあたりをつけてみることをお薦め致します・・。作る段取りのイメージが湧きますから・・・・。
組み立ては、まず、空気室部分を構成をするパーツ⑤に②~④を取り付け、さらに⑦とその上の★の4mm厚の2枚の板で、スロート部分を作っておくことからスタートです。
⑦の後に⑨も取りつけておきます。
①のバッフル板には⑥を取りつけておきます。
⑫~⑯の板の塊は、先に貼り合わせて作っておきます。
一般に板の貼りあわせは、ズレたら困るので、まずボンドを付けずに板同士をきっちり合わせ、下穴をだけ穴あけします。ドリルの刃はこの場合は板3枚を貫通しない程度に、ドリルからの刃の出方を45mm以下に調節します。
6箇所くらい穴あけしてからボンド付けし、貼りあわせ、ボンドが落ち着いたら、ネジが貫通して飛び出ないようにやや短い40mmくらいの長さのコースレッドで締め付けます。
こうして貼りあわせは「穴が先」「・・それからボンドで接着」「コースレッドを締める」とやると、ズレにくく、うまく行きます。
もちろん穴あけした時の通りに貼り合わせませんと、穴がずれ意味がなくなります。
ボンド付けのとき、部品の裏返しをしないように、貼り合わせる面が分かるマークをしておきます。

この時、平らな板の上で組み立てると塊の部分自体の精度も上がりますし、L字型の部位との接合もネジレ無いで組み立てられ、うまく行きます。「平らな板の上で組みたてる」がポイントです。
この塊を⑪につけますとL字型が出来上がります。この順番でないと段取りが悪くなります。
塊の後は⑪への三角材の取り付けになります。
で、さらにその⑪を②・⑤に取り付け、その後②~⑤の上に①を取り付ける段取りです。
ここまでで上部のパーツ部分が出来ています。
kumitate1.JPG kumitate3.JPG
空気室周辺の組み立てから、上部の音道全体の組み立てへ・・

つづいて後部のパーツの組み立てです。
⑰に⑧、⑩を取り付けます。
その後、先に⑱と⑲を貼り合わせておき、⑰に取り付けます。
⑱と⑲に⑳を打ちつけ、⑳に対してあらかじめ貼りあわせた(21)(22)を付けて行きます。
kumitate2.JPG kumitate4.JPG
音道全体が見えます。開口部近くは板を厚く使い、相当の補強がされています。
noko1.JPG sankaku1.JPG
 三角材は切り出しが大変です

2個目の三角材もこの後に付けます。三角材は下からの固定で良いと思います。
(三角材は一辺が10cmくらいの角材を斜めに半分に切ったものを片側2個使います。
三角材は開口部へ低音を押し出すために大変有効なパーツのようです。小生の場合は、1辺が10cmくらいの角材を手のこで(のこぎりで)斜めに裂いて使っています。これは「のこぎり」の縦刃(たてば)で無いと、うまく切れませんので、両刃の「のこぎり」がぜひ必要です。
これを鋸で切るのはかなり難しいですがホームセンターなどでは斜めのカットはやってくれませんので、練習してコツを体得してからやる以外に方法は無いようです。音道の途中には高音吸収用のフエルトを貼る・・・という工程もあります。)


さらに、この「後部」と「下部」のブロックを「上部」のブロックに付けると、構造体が完成します。

この後、手作りのスペーサーを必要とする組付けになります。
この出来上がった構造体を側板にネジ止めするのですが、この構造体はまだブラブラで、
パーツ間の寸法がガタガタしてしまうからです。
構造体を並べ、音道のそれぞれの幅30mm、40mm、50mm、70mm、85mm、115mm、130mm、165mmなどのパイプ状のスペーサーを厚紙などで作っておき、それらを所定の場所に入れますと、構造体が寸法的に落ち着きます。そうしてからボンド(乾燥の遅いもの)を構造体に付け、ネジの位置を鉛筆でマークした側板を乗せて、穴あけ、ネジの頭部のザクリ、ネジ締めとなります。
側面の板がズレが無いように角を決め、コースレッドをまず四隅に打ちます。
ボンドが落ち着いてきたら、5cmおきくらいにドンドン下穴をあけ、ザクリ、コースレッドを打ち込みます。
はみ出た木工ボンドは水溶性ですから、ぬれ雑巾でドンドンふき取っておきます。

片面で50本くらいのコースレッドを打つでしょうか?
狭くて5cmから、広くて10cmくらいでネジを打ちます。

ドリル径は2.5mmを使い、ネジ頭用のザクリはそれに向く専用のキリを使います。
写真参照ください。
コースレッドは32mmを中心に~1部には38mmを使っております。
ただし三角材の固定用には、51mm~65mmなども使います。
(小生は組み立て用に、ドライバー・ドリルを3台同時に使います。
下穴あけ用、ザクリ用、とネジを締めるドライバーの3台の使い分けをするのです。
3台使うと刃やドライバーを、その都度、付け替える時間と手間が短縮でき、早いのです。)

側板が片側に付いたところで、フエルトの貼り込みをします。
1mmくらいの薄いフエルトを⑤の下の部分と⑪の上面に木工ボンドを薄くつけ、貼ります。ホーンの中の高音を減衰させるためです。
⑲の上にも三角材に掛けてフエルトを貼りこみます。(高音の反射対策)
バックロードホーンの開口部からは低音のみを出すのが理想で、高音は減衰しているのが良いのです。フエルトなどは高音吸収用です。システムの中・高音はスピーカーからの音を直接聞き、低音はスピーカーの後ろに出た音をラッパを通して大きくして聞く・・のがバックロードホーンですから・・・。

もちろん反対側の側板をつけた後(両側取り付け後と言うこと)では、先ほどのスペーサーは二度と外せませんので、音道に残ってしまいます・・。必ず片面が終わったらこのスペーサー郡は外します。これは本当に注意してください・・・。残して組んだら最後ですから・・。

sankaku.jn.JPG nejineji.JPG
根気のオプション三角材!!          コースレッド(木ネジ)だらけの側版の写真

側板の取り付けが左右両方とも済みましたら、小生の場合、化粧用の3mmのシナベニヤの板を側板の上から貼りつけました。
この貼り付けはボンドのみで実行です。
貼ってから体重を掛けてスピーカーに〇〇分間も乗っていました。

側板の化粧板貼り付け後、側板周囲の木口テープを貼ります。
G17などのゴム系ボンドを使用します。

sankaku2.JPG tosoumae.JPG

その他
写真にはその他の三角材が写っております。
これは、根気のある時のオプションとお考えください。
やる気があったら、やるのも、また楽しい・・・です。効果の程は未確認ですが、気のせい程度の効果・・と言う方もいるくらいです。
小生は、このスピーカーがサブとは言え、期待するエースの1台ですから、ちょっと根性で三角材を作って入れました。
三角材は面倒ですが・・・。

5.組み立て・・・配線
組み立てが終了しましたらユニットの取付けです。小生の図面では先に真鍮のリングを付けてから、スピーカーの取り付けです。

リングの後にコードを通し、ユニットの端子に半田付けしました。
半田付けは賛否両論のようで、ファストン端子というハメるだけの端子にする方もいますが・・。
小生は半田付けを愛用です・・・。

6.仕上げなど・・。
これで組み立ては完了ですが、塗装など、仕上げが待っています。
仕上げは個々の趣味ですが、小生はこのスピーカーでは、木目を活かす作りとしましたので、「メープル」カラーの油性オイルステインの上から、透明の2液性ウレタン塗料のクリアをハケ塗り塗装をしました。ウレタン塗料は手指乾燥するまでは30分くらいで速いですが、重ね塗りのためには5~8時間くらい後の硬化するまでの時間を見ます。ちなみに水ペーパーで削るためには、完全硬化する20時間後を目安としています。
塗るのは7時間おきとして、朝8時、午後3時、夜10時の一日3回が限度でしょうか・・。
そして、削るのは翌日、丸1日後・・ですね。

時間を空けながら4回ほど重ねて塗って、その上から翌日に1000番の耐水ペーパーで水研ぎをして、刷毛の目を削り、その後、Tシャツのボロなどに自動車塗装の仕上げ用の研磨剤(コンパウンド)をつけて根気良くゴシゴシ磨いて仕上げます。
コンパウンドは自動車補修用品の売り場で購入し、細目から極細目を使い分けして、愛用しています。
耐水ペーパーのくすんだスリ後が消えて、ピカピカ・艶々になります。
まるでプロの仕上げの感じになります。塗装は、実は塗るより磨く感じが正解?!です・・。
このクリアもそうですが、ウレタン塗料はいつも「おもしろ塗装工房」さんで通販で買っています。
http://www.tosou-ya.comをご覧ください。
2液性のウレタン塗装は、高級家具の様なフィニッシュになります。
この塗装は2液を混合したりなど、色々面倒ですが、手間を掛けて厚塗りすると、まるでプロの高級家具そのもので、完成するととても綺麗なので、お薦めできます。

7.完成
いよいよ・・・完成です。
空気室へのウッドブロックの投入やスロートの調整でかなり良い音がしました。
全体のまとまりが良く、良い音です。
特定の録音のバスドラムの素早い低音など・・ごく一部の音の再生を期待しなければ、コントラバスやベースの低音は充分すぎるほど出ています。
やはりハイスピードで音が飛んできます。
エージングもしていないのに、のっけからかなり良い音なのはD-99ESRの時と同じです。
8.5cmとは思えない低音の豊かさに、最高40khzまでの高音の抜け。
スッキリ繊細なのはブックシェルフの時と同じ傾向です。
D-99を上下に周波数を拡大した・・・性能と言う感じです。

アン・サリーさんのCDの中にある、バスドラムとベースの重なった難しい低音・・これでも、音量を欲張らなければ、何とか破綻せずに鳴ってはいます。・・これは今まで難しかった再生なのです。ギリギリ出ているでしょうか・・・。

リー・リトナーの「カラーリット」のエレガットの抜けは大変良好です。
BEST OF FOURPLAY の一曲目、MAX O MANも最高に音が抜けてきます。
女性ボーカルも申し分ありません。松任谷由実さんの初期のアルバムが涙モノのリアリティーで、生き生きしています。
ジャズの女性ボーカルでは、SACDのダイアナクラール。声の余韻が素晴らしいです。
コントラバスの低音も問題なしです。チェコフィルの2人の演奏になるデュオ・ディ・バッソのチェロとコントラバスが、とんでもない凄い音になって飛んできます。

やはり、弱点は特定の音質で録音した場合の、大音量時の低音のパルス的な短い音、バスドラムとか・・・、これが大音量再生ではモコモコ、ボコボコする傾向が、少々ですが・・・残ったことでした。

ユニットのコーン紙が大きく前後に動いていますが、さすがに8.5cmの限界があるのでしょうね。潰れた低音と言う感じになります。低音のパルス・・には弱い様です。
しかし今回はスロートを絞る調整をしたので、少しは良くなっているようです。

・・音が良いので、ついつい欲が出ますが、大音量時の限界はやはり、ありますですね
優秀なスピーカーシステムでも、口径8.5cmは8.5cmと言うことでしょうか・・。

このスピーカーは現在、小生の小型スピーカーのエースです。
小生には、たまらなく良い音がします。
聴いていると、「なんて良い音なのだ」とシミジミ感じます。・・・また、意外な事に、結構な大きい音量で聞いていても、うっかり寝てしまったりします・・・気持ちの良い音とは、そう言う感じの音なのですね・・・。

※このバックロードホーン形式のスピーカーは、好き嫌いがはっきり出るスピーカーのようで、全くダメで、嫌いと言う方もいらっしゃると聴いております。
耳が良くて、周波数が分かるようなタイプの方にとっては、低音の特定周波数のピークとディップ(特性の凸凹です)が耐え難くて聴いていられない・・・とか、中・高音が雑で・ラフで、うるさくて聞けた物ではない・・・という方もいらっしゃるようです。
有名なスーパースワンでさえも、お作りになってすぐ後、聞けた物ではないので、捨てた・・と言う方もいらっしゃるそうですので、この自作スピーカーについての内容は、あくまで小生の感覚・自分の好みでございまして、客観的な比較や性能の説明とは申せませんので、その点、一ユーザーまたは小生が譲った友人の方の主観といたしまして、悪しからず、お許し頂ければと思います・・・。

02-24-07 20:49 | 先頭へ↑

手作りスピーカー しょの4

「手作りスピーカー しょの4」
とうとう?あらあら?手作りシリーズ第4弾?『しょの4』です。
これまた期待は・・・明らかに・・されていない!!ですよねー・・。
大変申し訳ございません。
ご興味ない方・・・今回も無視してください。恐縮でございます。
今回はスピーカーの手作り「偏」の4回目であります。

前回までに、
①D-101S(スーパースワン)から
④D-99(エイトマン・・8cm、FE88ES用 ブックシェルフ型)まで書きました。
      で今回は、
⑤D-99ES-R(FE88ES-R用 ブックシェルフ型)小生の図面あり・・・の話を書きますです。

そもそも、D-99ES-Rなんて長岡先生のスピーカーの品番は存在しません。
小生が長岡先生のご逝去後に発売になったFOSTEXさんの新ユニット、FE88ES-Rで、先生のD-99エイトマンを下敷きに、適宜変更を加えて書いた図面で制作したものを、便宜上、勝手にこう言う呼び方をさせて頂いているだけなのです。
大変申し訳ございません。

この型番には、Dもつけていますので、甚だ勝手に詐称しているようで、まことに申し訳ない思いで、恐縮の限りです。
しかし、もともと先生のD-99に基づいて、新ユニットFE88ES-R・・向けに諸般、計算を繰り返し、何回か手直しをして完成したもので、小生のオリジナルではないのです。しかし、板取りなど、多少の工夫も盛り込んでありますし、寸法に至っては一回りも大きくなっていますので、微妙ですが・・・、図面はお見せして良いのではと判断しています。

20070219_00.jpg

・D-99ES-R図面を表示

・スピーカー台図面を表示

で、恐れながら、敢えてエイトマンの名前を踏襲してD-99ES-Rなどと言っています。(長岡先生のファンの皆様お許し頂ければと思います。)

設計内容については、実際の制作の結果も踏まえて何度か修正してありますので、さらに今後も検証は続けたいものの、この図面通りですと結果は、まずまず良いのでは?と思っています。(多少の自画自賛は入っております・・・念のため)

それでは、
口径8.5cmの大好きなユニットを使用した、D-99ES-Rです。
ブックシェルフ型バックロードホーン、D-99の派生ですので、(エイトマン“R”)でしょうか。
このユニットは何と言っても40khz(キロヘルツ)まで延びた高域のさわやかさに特徴ありです。本当にトゥイーター不要です。
このことの意味の大きさが分かる方には分かっていただけます・・・。好結果を期待できます。では、、、

1.設計変更の留意点・・
一応、小生の計算の内容をお話ししておきますと、スピーカーの直径(=口径)の大型化8cm~8.5cmに・・に伴い、エンクロージャーの少々の大型化を考えました。

まずスピーカーの後ろの部屋の大きさ・・・→空気室の容積をD-99の1200ccから1400ccに増やしています。
初期のこのモデルの制作においては1600cc程度でしたが、低音時のユニットのバタつきを抑える意味で、非常に感覚的な事を頼りにした変更で恐縮なのですが、実験の結果、縮小の方が良いと感じましたので、狭めて図面を書き直しました。さらに実験するとしたら1300ccくらいがどうか?が気になりますです・・・。
(さらに体積を狭める時はウッドブロックにフエルトをまいたもの等を、空気室に放り込めば完了で、簡単です。体積を増やすのは容易ではないですが、縮小するのは粘土の塊など、何か物を入れるだけでも出来ますから・・・それで大き目の提案が安全と言うことになります。)

ちなみにFOSTEXさんのこのユニットの説明書にある、バックロードの設計例では1200ccで従来のD-99と同じでした。
しかし、ユニットが異なる8cmのFE88ESと、8.5cmのFE88ESRが同じ空気室容量と言うのはかなり抵抗がありました。
D-99では1200ccで良い結果でしたが、8.5cmのこの新ユニットでは少し大きい方が良いのではと思っています。

次に難しいのはスロートの絞り方です。
スピーカーの振動板面積の何%にスロートを絞るか?が大変重要なのですが、小生は当面の設計で84.7%くらいにしています。
どうもこの位が良いのでは?と言う事で採用した数字なのですが、このユニットは意外にもQ0(キューゼロ)が大きく噂に聴くよりは、超強力ではない特性で、バスレフ方式でも使えるくらいなので、スロートは70%位の絞り方でも、低音でユニットのコーン紙が暴れずに済んで、かえって良い結果なのかも知れません。小生の手持ちのスピーカーで、同じユニットを使ったトールボーイ型のバックロードホーンスピーカーの実験では、スロート面積26.4平方センチまで絞りましたが、結果は良好に感じました・・・。
ちなみに上記FOSTEXの事例と、この設計の比較で面積換算しますと、絞り率の差は、3.2%でした。
FOSTEX版の設計が12cm幅のホーンで高さが2.5cmのスロートで、30平方センチです。これは81.5%くらいの絞り方です。
(当方は8cm幅で、高さ3.9cmのスロートであり、31.2平方センチです。この時の絞り率は、前出の84.7%になります。)
今後の実験ではスロートをさらに絞って8cm幅で高さ3.5cmに変更し、スロート面積28平方センチ、絞り率76.0%位が相当宜しいのでは・・・と考えております。

●このスロートの再縮小版の図面も、書いてありますので、おってこちら(スロート8cm幅で高さ3.5cmの図面)も時間を見て、このブログの下の方にアップしておきます。もし作られますなら、こちらの図面がより良いのでは・・と思います。お勧めいたします。

空気室とスロートが決まれば、後はホーンのカットオフ周波数を24ヘルツに設定して、計算したとおりのホーンを、箱の中に組み込んでいきます。(修正前のカットオフ周波数は28ヘルツを表から選択していました。しかし、この修正の結果で、実際の音道の変化は?・・殆どありませんでした・・・)
スロートから何センチ進んだら、スロートのホーン断面積の何倍・・・1.3倍とか・・になるかを計算していきます。(早見表があるのです)
工夫したのは前から後ろへの折り返し部分で、後ろ側で断面調整の板を2枚使って受けています。スムーズに音道が広がるようにするためには、この2枚の板が結構・・重要だと思います。このパーツの導入で組み立ては難しくはなりませんが、従来のこの種の設計には無いパーツですので、組み立て取り付け順(段取り)には注意が要ります。
順番を間違いますと、取り付けが大変(不可能か、ネジを斜めに打つ必要がでる)になります・・。
そして、その他の大きな留意点としては、ホーンの開口部のサイズ・形状を正方形で確保した事です。
ブックシェルフでしっかり低音を出すのは、ホーン開口部:ここの形状と補強が重要と感じております。
図面をご覧下さい。
組み立て写真は設計の修正前のものですから、空気室のスロート部のパーツや途中の音道の作りなどが少々異なります。
しかし、もし制作をされる場合は、修正版の最新の図面でお作りになるほうがよろしいと思います。

2.板材の手配
板は15mm厚と21mm厚のシナベニヤを東急ハンズさんの渋谷店で購入し、カットを依頼しました。(小生の実際に作ったものは、①のパーツや天地、左右などの部分に21mm厚のシナベニヤをおごり、補強強化したものでした。・・図面ではすべて15mm厚になっています)
渋谷のハンズさんでは、丸い穴も四角い穴も開けてくれますので、送って頂いたら後は組み立てるのみです。少々加工賃が掛かりますが、これは楽ですね。加工の精度も結構良いとおもいますし・・・。

3.パーツ確認と下準備
パーツをそろえて過不足を確認し、組み立ての開始です。
まずは、寸法の確認からです。
音道構成パーツは前面側はすべて幅80mmで、後ろ側は120mmです。
平らな板の上で80mm同士、120mm同士のすべてのパーツを背比べするようにきっちりくっつけて揃えて見ると、狂いがある物が出っ張ったりします。この段階で出っ張るパーツにカンナを掛けたり、ヤスリで削ったりして綺麗に均しておきます。これはコツです。後々の組み立てが楽になるので是非やっておきたいものです。
事前の準備としては、さらにフロントバッフル板に、裏側からスピーカーの取り付け用の爪つきナットを打ち込んで、つけておきます。

20070219_01.jpg
爪つきナットの打ち込みと、取り付け穴周囲の角を削った写真・・音の流れをスムーズにする

この程度の小型のスピーカーユニットでは取り付けるネジは4mmを使います。従って爪つきナットも4mm径用です。(爪つきナットは8個入って100円くらいです。)

取り付けは、この爪つきナットの外形が5.5mmくらいですから、ドリルの穴は5.5mmの穴となります。穴の位置は図面的にも割り出しますが、早いのは現物での確認です。
穴の中心を出すためには、穴を開ける時に切り離した丸い不要な部分を穴の中心に入れて、中心からネジまでの距離をコンパスで墨付けしてから、丸い部分を外し、穴にユニットを置いて、ユニットの取り付け用の穴にコンパスの線が見える範囲で、キリでチョットだけ穴を開けると安心です。このキリの穴があると、ドリルでの穴あけの時、刃が落ち着きやすく、真っ直ぐ穴を開けられます。(ハンズさんからは、この穴の内部の丸い板も送られてきます・・ご安心を)
・・・この墨付けと現物あわせの併用をやりますと、ユニットがバッフルの穴に対して偏ってしまいませんし、寸法のミスについても、現物での確認をするわけですから・・当然防げます・・。
爪つきナットを打ち込みますと、実際はユニットの丸い開口の内側の部分に、ナットの一部(金属の針部分)が少々が出っ張る筈です。

これはナットを打ち込んだ後で、金属用のヤスリで削ります。1000円くらいと少々お高いですが、ステンレス用の片側が「かまぼこ状」になっている「半丸」で、半分が「平面」のヤスリがお勧めです。
小生の経験では、ステンレス用でないと、ヤスリが弱いのか?なかなか削れなかったりしました・・。

4.組み立て・・音道
前後を分ける①のパーツが要です。このパーツの上に音道を構成をするパーツ②~⑬を並べて、こんな感じに取り付けるのだな・・と、あたりをつけます。

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(左)鉛筆の線が見えます。並べて確認し、速乾ボンドで接着、落ち着いたら裏返して木ネジで!

①の板には図面どおりの寸法でパーツの来る位置に鉛筆でラインを入れておきます。
そうしましたら、いよいよパーツに木工ボンド(この場合「速乾」タイプを使います)を付けて、図面通りに板に描いた線に合わせて貼り付けます。

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体重をかけ3分~くらい押し付けていますと、木工ボンドも落ち着きまして、一瞬板を裏返す間くらいは剥がれず、ズレず、にいてくれます。
このズレない程度の状態が重要です。
そこで裏返して、裏からドリルでネジ用の下穴を開け、ネジの頭が出っ張らずに入り込むようなザクリもやってから、コースレッドと言う細身の木ネジを打ちます。(裏からもパーツの位置のネジを打つラインは事前に引いておきます)
ネジの間隔は適当です。
狭くて5cmから、広くて10cmくらいでネジを打ちます。
小生の場合、組み立てには釘は使いません。
コースレッド(木ネジ)は下穴など面倒ですが、強力に締め付けられますから強度抜群になるのです。
もっとも面倒がって直径2.5mmの下穴をきちんと開けませんと、板が割れる事がありますから、工作は少々面倒になりますが・・・。

ドリル径は2.5mmを使い、ネジ頭用のザクリはそれに向く専用のキリを使います。
コースレッドは32mmを主に使っています。

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木ネジの頭が出ない様に円錐型に削る刃(ドイトさんで見つけて愛用) 右は普通の2.5mmのドリル

このやり方での、作業効率アップのために、小生は組み立て用に、ドライバー・ドリルを3台同時に使います。
下穴あけ用、ザクリ用、とネジを締めるドライバーの3台の使い分けをするのです。
3台使うと刃やドライバーを、その都度、付け替える時間と手間が短縮でき、早いのです。
最近はAC(家庭電源)の電動ドライバー・ドリルもオークションで1500円くらいですし、充電型のものでも3000円くらいで結構良いのがあるので、3台使っています。

パーツ③~⑥は事前にボンドでくっつけておき、それを②に付け、さらに②に⑦を付けておきます。⑩~⑬も先にボンドで箱状に作っておきます。この時、平らな板の上で組み立てるとL字型の部位や、箱状の部分がネジレ無いで組み立てられ、うまく行きます。

20070219_04.jpg

このボンド、裏返しネジ止め・・作業の繰り返しで、前面側の音道は完成します。

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表側の音道完成・・コードも通してあります(チョット短くて失敗ですね)

裏面側も基本的に同様ですが、板の貼りあわせがあります。
まず、⑮の上にボンドで⑭を貼っておきます。(しっかり重量を掛け、ズレ無い様に・・コースレッドの25mmを1~2本打っても良いです・・)
それから⑯に⑭と⑮貼り合せたものをつけます。これはボンドとコースレッド32mmの併用でつけます。
その後⑭と⑮のついた⑯にたいして、⑰と⑱をボンドとコースレッド25mmで貼り合わせの要領でつけていきます。

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裏側の音道完成・・・結構複雑になっています

このパーツは左右がありますので、同じ作り方で2個作らないようにしませんと、1個が取り付けられなくなります。
左右対称は意外と注意が必要で、やり直しが続発する部分なのです。

一般に板の貼りあわせは、ズレたら困るので、まずボンドを付けずに板同士をきっちり合わせ、下穴をだけ穴あけします。ドリルの刃は板2枚を貫通しない程度に、ドリルからの刃の出方を30mm以下に調節します。
4箇所くらい穴あけしてからボンド付けし、貼りあわせ、ボンドが落ち着いたら、ネジが貫通して飛び出ないようにやや短い25mmの長さのコースレッドで締め付けます。
こうして貼りあわせは「穴が先」「・・それからボンドで接着」「コースレッドを締める」とやると、ズレにくく、うまく行きます。
もちろん穴あけした時の通りに貼り合わせませんと、穴がずれ意味がなくなります。
ボンド付けのとき、部品の裏返しをしないように、貼り合わせる面が分かるマークをしておきます。
裏面のパーツもこれで①に着けられ、音道の概要が完成します。
そうしましたら、後は組み立て順どおりに、その他のパーツを取り付けていきます。

5.組み立て・・・配線
前面のバッフル板と後面の板を取り付ける前に、スピーカーのコードを通し、端子を装着する準備をしませんと、後からでは取り付け不可能になりますので、段取りを忘れないように、あせらずじっくりやる必要があります。

20070219_07.jpg

コードの長さも重要なポイントです。十分な余裕を見て、後ろの端子の穴から出る部分が
30cm以上とたっぷりにしておきます。
前のバッフル板からも40cm以上の余裕を見ます。長い分には後で切れますから・・・。
特に前面はコードの長さに余裕があると、スピーカーユニットの取り付け、半田付けなどの時に、スピーカーユニットを箱(エンクロージャー)の上に乗せて作業が出来ます。
この余裕が45cmくらいなのです。
本体25cm、後ろ30cm、前45cmでで、トータル100cmです。意外に長いですね。余り過ぎたら、後で切ってください。

①に直径4mmくらいのコードの通る穴を2箇所あけ、スピーカーのコードのプラスとマイナスを通しエポキシ系ボンドで穴をふさぎます。
想定するコードの接着位置にマジックなどで印をしてからコードを板の厚み分の15mm程、引き出して、その出した部分の周囲全体にボンドを塗り、印までコードを戻すと、穴の中までボンドが行き渡ります。
コードを回転させて、ボンドを馴染ませるのも良いと思います
なぜエポキシボンドかと言いますと、穴の奥まで固めるためなのです。
溶剤系で乾燥させるタイプのボンドを使用すると、空気の入らない奥の方が固まらず液状のままになってしまうのです。
その点、エポキシ系のボンドはA・B、2液の反応で固まるタイプであり、空気・乾燥を必要としないので、穴の中の奥でもきちんと固まるのです。
配線後に後面の板をつけるとき、事前に端子用の穴・・大体10mmの穴を二つ・・開けておきます。そして後面の板にはコースレッドを締めるための穴を開ける位置に、鉛筆で線を入れておきます。
この状態で本体側に木工ボンド(速乾ではない普通の)をつけて、後面の板の端子の穴にコード2本を通し、先を軽く結んで!!抜けないようにし、接着します。

6.組み立て・・・後面とバッフル~開口部の三角材
後面の板がズレが無いように角を決め、コースレッドをまず四隅に打ちます。
ボンドが落ち着いてきたら、5cmおきくらいにドンドン下穴をあけ、ザクリ、コースレッドをねじ込みます。
はみ出た木工ボンドは水溶性ですから、ぬれ雑巾でマメにドンドンふき取っておきます。

開口部の後ろ半分の部分に(24)をつけておきます。(24)の上には三角材がきます。
三角材は一辺が8cmくらいの角材を斜めに半分に切ったものを使います。
三角材は開口部へ低音を押し出すために大変有効なパーツのようです。

20070219_08.jpg
茶色く見えるのが一辺8cmくらいの角材から切り出した三角材

長岡先生の設計では使われておりませんが、準備される事をお薦めします。
小生は1辺が8cmくらいの角材を手のこで(のこぎりで)斜めに裂いて使っています。これは「のこぎり」の縦刃(たてば)で無いと、うまく切れませんので、両刃の「のこぎり」がぜひ必要です。
これを鋸で切るのはかなり難しいですがホームセンターなどでは斜めのカットはやってくれませんので、練習してコツを体得してからやる以外に方法は無いようです。
音道の途中には高音吸収用のフエルトを貼る・・・という工程もあります。
①の前後の音道を連絡する穴、95mm×90mmの部分の下に、薄い1~2mm厚くらいのフエルトを木工ボンドで貼っておきます。
そして、最後に前面バッフルの装着で、組み立て終了です。
本体側の板に木工ボンドを付け前面バッフル板を貼ります。この時、コースレッドを使う方法と、仕上げを気にしてボンドのみで行う場合があります。
ボンドのみでの固定には、ハタ金という本体を挟んで締めつけておく工具が6本とか8本とか必要になります。(1本1,500円くらいしますので、あまり使わない方にはもったいない工具ですが)

20070219_09.jpg
表に傷が入らないように、捨てるベニアの切れ端などを挟んで締めます。ガチガチ!!

ハタ金を使わずコースレッドで組む場合は、ネジの頭をパテなどで隠す工程が必要になります。
その場合は、ネジの頭を隠したパテ跡が目立ちますから、木目を活かした自然な塗装・・生地仕上げ・・・などは出来なくなりますので、黒など不透明の濃色のペイント仕上げが通常になります。
小生も黒で仕上げるならネジを打ちますし、木目で行くならボンド・ハタ金です。

7.仕上げなど・・。
これで組み立ては完了ですが、塗装など、仕上げが待っています。
仕上げは個々の趣味ですが、小生はこのスピーカーでは、前面バッフルをボンドで取り付けて木目を活かす作りとしましたので、「メープル」カラーの油性オイルステインで全体を塗りました。

ところが、実際は、不幸にもシナベニヤが、表面に部分的に油分を含んでおり、オイルステインを塗ってもこれを弾いてしまい、大きなムラ染めが発生し、何度やってもダメでした。
で、結局この塗装の修復が不能と諦め、本物のメープルの「つき板」を購入し、熱で貼る(アイロンで貼っていく、熱で解けるボンドがついていました)事になりました。
これは難しい作業で、時間を要しました・・・。やり直しが何回も必要で・・・。

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つき板を貼る前に、ムラになった濃い目の塗装です・・やり直し前の状態です。
長岡先生オリジナルのD-99(黒色)とのサイズの比較が出来ます。
一回り大きくなっています・・。[台はD-99用の(赤)にとりあえず載せています。]

この「つき板」は正面、天板、左右、の4面仕上げにしました。
それから、やっとメープルのつき板に対してオイルステイン塗装の再登場です。
今度はちゃんと綺麗に染まりました。
ステイン塗装は刷毛で塗ったら、すぐにボロ布でふき取り、ムラにしない・・という塗装方法です。
ステインの乾燥後、その上から透明の2液性ウレタン塗料のクリアをガン吹き塗装をしました。3回重ねて吹いて、コンパウンドで磨いて仕上げます。
コンパウンドは自動車補修用の中目~細目くらいを使用しています。
磨くとピカピカ・艶々です。
このクリアもそうですが、ウレタン塗料はいつも「おもしろ塗装工房」さんで通販で買っています。
http://www.tosou-ya.comをご覧ください。
2液性のウレタン塗装は、高級家具の様なフィニッシュになります。
完成するととても綺麗です。

8.完成
いよいよ・・・試聴です。

20070219_10.jpg
左上がBS-28改、左下がD-99ES-R、右がD-37ES・MAKIZOU版です。
こうして見ますと、スピーカーが多すぎです・・・。

かなり期待通りの音がしました。
まっすぐで繊細。
ハイスピードで音が飛んできます。
エージングもしていないのに、のっけから凄く良い音なのはD-99の時と同じです。
8.5cmとは思えない低音の豊かさに、最高40khzまでの高音の抜け。
スッキリしています。
D-99を上下に周波数を拡大した・・・性能と言う感じです。
リー・リトナーのエレガットの抜けも最高に気持ちが良いです。
女性ボーカルも申し分ありません。エラ・フィッツジェラルドさんのマックザナイフが生き生きしています。
コントラバスの低音も問題なしです。チェコフィルの2人のデュオ・ディ・バッソのチェロとコントラバスが、とんでもない凄い音になって飛んできます。
一方、弱点も露見しました。
大音量時に低音のパルス的な短い音、バスドラムとか・・・、これがモコモコ、ボコボコします。
ユニットのコーン紙が大きく前後に動いていますが、さすがに8.5cmの限界があるのでしょうね。潰れた低音と言う感じになります。低音のパルス・・には弱い様です。

もっと頑張るなら、もう100cc程、木のかたまり等の何かを入れて、空気室を小さくしてみたり、スロートに薄いベニヤを貼って2mmくらい絞ってみたり・・・という実験もして見たくなります。
しかし・・音が良いので欲が出ますが、大音量時の限界はありますですね。
優秀でも口径8.5cmは8.5cmと言うことでしょうか・・。


このスピーカー(初期設計版・・)には、少々後日談があります。
これを聴きに来た友人が、僕も作ると言い出したのです。
彼は昔、小生のスーパースワンを聴きに来て、これに感動し、初心者ながら制作にチャレンジして、1年がかりでものにした・・ツワモノ・・・でクラシック好きなのですが・・・。
今回も「気に入ってしまった。どうしても作る」・・となったのです。
彼は図面を持ち帰り、勇敢にチャレンジし、これを作っているようです。
さらに、彼の義理のお兄さんまでが、同じモノを作られたとの事です。
義兄さんも音質の良さに相当驚かれ、ご友人を招いては口径8.5cmとは思えぬ低音をお見舞いし、カルチャーショックを与えているそうです。
ともあれ、とても満足され、大変気に入っておられるとの事で、小生も嬉しくてたまらないお話しでした。

それから、図面にもありますが、この茶色の台は相当苦労して作っています。
柱の部分の中に乾燥させた砂を充填しているのはD-99と同じです。
根気と根性だけは必要な台ですねー、これは。

で結局、この小生のACEスピーカーのD-99ES-Rが今どうしているか?ですが、これは非常に気に入り、仕上げにも相当拘ったものでしたが、お世話になっている方のお宅にお譲りいたしました。
今までの全部がそうですが、良いものだと思ったからこそ、お知り合いの方にお譲りしています。
このES-Rは大田区方面で活躍中です。オペラなどのソフトの再生に大忙しと聴いています。

で、小生は次の興味へ・・・。
設計の変更や仮説の検証がしたくなって、次を作るのです。

次回はまた、小生が大変気に入った、この同じユニットを使用します。
FE88ES-R用のスリムなトールボーイバックロードです。
これは最近作ったばかりの機種です。

これも完全に自分の書いた図面ですから、皆さんに公開出来ますので・・・。
出来れば多少ご期待いただけると、やる気が出るのですが・・・。

・D-99ES-R図面【再修正版】を表示

※このバックロードホーン形式のスピーカーは、好き嫌いがはっきり出るスピーカーのようで、全くダメで、嫌いと言う方もいらっしゃると聴いております。
耳が良くて、周波数が分かるようなタイプの方にとっては、低音の特定周波数のピークとディップ(特性の凸凹です)が耐え難くて聴いていられない・・・とか、中・高音が雑で・ラフで、うるさくて聞けた物ではない・・・という方もいらっしゃるようです。
有名なスーパースワンでさえも、お作りになってすぐ後、聞けた物ではないので、捨てた・・と言う方もいらっしゃるそうですので、この自作スピーカーについての内容は、あくまで小生の感覚・自分の好みでございまして、客観的な比較や性能の説明とは申せませんので、その点、一ユーザーまたは小生が譲った友人の方の主観といたしまして、悪しからず、お許し頂ければと思います・・・。

02-19-07 13:08 | 先頭へ↑

松任谷由実さんの曲

「松任谷由実さんの曲」
今まで、なかなか人に話していないのですが、小生、自分達の世代の・・・同時代を生きるアーティスト・・・松任谷由実さんの「隠れ大ファン」なのです・・・。
松任谷由実さんは、確か小生の1歳年上で、学年は二つ上だったと思います。
あまりにもポピュラーと言うか、この人の曲を好きだと言うと、男のくせに女々しいと思われるのでは?とか、色々考えすぎもし、さらに、なぜか多少の気恥ずかしさも有り、この件あまり言っていませんでした。

・・・ですが、松任谷由実さんの曲が、大好きなんですねー。

アルバムもアナログレコードの時代に、レンタルしてカセットにコピーしたモノを殆ど持っていたのです。
このカセット!気合の入ったメタルテープにドルビーBを掛けてダビングしていました。
メタルテープです!!・・・カセットでは、気合いの「よそ行き」・「一張羅」のメタルを投入していた特別なアーティストさんが松任谷由実さんなのです。

もちろんレコードもかなり持っていました。

もともとの松任谷由実さんの曲との出会いは、当時の年下の女子の友人に・・「凄く良いから聴いてみてよ・・」とレコードを借りた事がキッカケでした。確か、「コバルトアワー」と「14番目の月」・・と言うアルバムを貸してくれたのです。

一発で嵌りました。
・・・買いました。この2枚から・・・。
で次に数ヶ月掛けて1枚目と2枚目の「ひこうき雲」と「ミスリム」を買いました。
いきなりレコード4枚を手に入れたわけですが、当時ですから、小生も浪人から大学1年の頃で、お金がなくて・・・、レコードは安いものではありませんでしたが、だんだんに買っていったのです。

そこには「歌謡曲」とは違う、なにか新鮮なセンスが溢れていました・・・。

演奏では、バックの方も今にして思えば、大変な大御所の方たちのようで、細野晴臣さんとかが支えていたようです。凄いです。

『シンガーソングライター』・・・新鮮な響きでした。
へえ、自分で詩も曲も作って、しかも歌うんだ・・・と驚いたものです。
松任谷さん・・いや旧姓の荒井由実さんは、何と言っても小生に、最初に『詩』というものを意識させてくれたアーティストなのです。

『詩』が良いのです。荒井由実さんは・・・。

言葉の選択、響きの選択、これがとっても良いのです。
それと由実さんの声の質・・・。
たまらなく切ないというか、品が良いというか・・。
油性でこってりと歌い上げる歌唱では無いのですが、心に強く残るし、飽きない歌声・・。

『ザ・透明感』とでも言うのでしょうか・・・。

当時小生は、全く勝手に、荒井由実さんのイメージを決めていました。
「深窓の令嬢歌手」・・・良いお家・・に育った、凄いお嬢さんのシンガーソングライター・・・と決めていたのです。

だって、ピアノが弾けて、美術の大学に通ってて、曲を書いて、歌うんですよ!!
こう言う才能が育まれる環境は・・「ええとこのお嬢」・・ですから。

声も好き、詩も好き、曲も良い・・・でした。

ビックリしたのです。
海を見ていた午後・・では「ソーダ水の中を貨物船が通る」・・・んです。
情景描写なんですね・・高度に現代の流行などを使いつつ、実は感情まで表現した・・・。

「サーフボード直しに、ゴッデス(GODDESS)まで行くと言った」・・・んです。
「茅ヶ崎までの間、あなただけを思っていた」んですから・・。
じゃあ茅ヶ崎を過ぎたら他の人を思うのか?って突っ込んではだめで、そう言うタイミングや気分がきっと素直なんだなって・・・、そう言う理解を・・・。

格好良いというか、当時の旬と言うか、チョットだけミーハーと言うか・・。軽さもあるし・・・。
でも、確実に時代の気分を写し取っている情景描写に感情が緻密に織り込まれているのです。

難しくないし、すーっと心に入ってくるし、でもかなり心に響く、残る表現だし・・・。
巧みです。

本当に、当時の同世代の人の気分や・・・当時の若者が憧れるような人たちの姿・・ライフスタイル等を表現していた・・と思っています・・・。

現実の小生は、サーファーでもないし、サーフボードも車も無いし、ダサいし、もてない奴でしたから・・・。
とりあえず法学部に通ってて、志もなくて、スキーだけ大好きで、バイト漬けで・・・。

こうして松任谷さんに若い時に共感?して以来、その後30歳でも、40歳でも松任谷さんが好きでずーっと来ています。

こういう人、実は結構多いんじゃ?と思います。

小生の「青春の音楽」が、松任谷さんなんだ!と一番自覚したのは、30歳くらいの頃、人生の転機があった時でした。
色々生き方が下手で、回りにも迷惑をかけ、ノイローゼにもなり、かなり落ち込んで職も辞して、転勤先から東京に逃げ帰るように戻る時、新幹線の中で聴いていたのは、ウォークマンに入れたユーミンのカセットでした・・・。

海を見ていた午後・・とか聞きながら東京・・・つまり故郷に帰ってきたのでした。
本当に落ちてました・・・あの時。
そう言う時に聞きたいと思うんですから、やはり何か心が求めるものが・・・あるんですね。そう思います。

透明感・・・。素直さ・・・。

特に初期の荒井由実さんは、聞いていた当時の自分の年齢・感受性の影響もあって最高!最高!なのです。

それから、そうそう、彼女の歌で学んだ事も多かったですね・・・。

真珠のピアス・・・なんて『詩』に驚きます。
ベッドの下にワザと片方捨てた真珠のピアス・・を新しい彼女と発見するだろうって詩です。
たまげました・・・。そう言う子は殆ど存在しないでしょうが・・・。でもあり得るし・・。
他にも沢山あるから名曲をあげたらキリが無いのですが、気になる度に更新すると言う事で・・・。

例えば、
『さざなみ』・・・これは曲として、最高で、僕にとっては「ザ・ユーミン」です。
本当にセンスの良い曲です。曲のテンポ、メロディー、歌詞、すべて松任谷さんで無いと出来ない曲では・・・と思います。

『中央フリーウェイ』・・高速道を扱ってドライブものの曲はもう出てこないのではと言う決定的な曲・・・。調布基地を追い越し、山に向かっていけば、たそがれがフロントグラスを染めて広がる・・・。・・・右に見える競馬場、左はビール工場・・・情景の描写が自分のドライブ時に再現する・・・シミュレーションなんです。
愛してるって言っても聞こえない風が強くて・・・これはオープンカーですね。
本当に優れた曲だと思います。いまでも中央道通る時は聞きたいし・・・。

『14番目の月』・・詩のインパクト・・・次の夜から欠ける満月より14番目の月が好き・・考えたものだ・・・最高の手前の感覚・・・女性らしいなあと思いましたね・・。

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またまた、だんだん紹介しますね・・。

それから、レコードなどはどうなったかですが、CDの時代が来てしまい、もうレコードはダメだな・・と誤解してこれらを処分し、CDをそこそこ買いました。
音楽フォーマットの変遷の被害者・・・。大げさですね。

現在ではCDも殆ど買ってますし、アナログも結構買いました。
かつて金が無くて買えなかったのですが、今はオークションなどを利用して安価に揃えて行けますから・・・。

残念なのは高音質のSACDが一枚も無いことです・・・。
松任谷由実さんの仕事が、デジタルでは、圧縮やサンプリングで「切られた物」しか存在しない・・・。

これは「悔しい気持ち」ですね。良い仕事はそのまま記録して欲しいですね。
全作品をSACDにして欲しいです。
もし、SACDがあったら、時間を掛けて根性で揃えていきますね・・・きっと。

02-14-07 16:43 | 先頭へ↑

手作りスピーカー しょの3

「手作りスピーカー しょの3」
いよいよシリーズ第3弾『しょの3』です。
いよいよって言っても、これまた期待されていないですよねー・・。
今回はスピーカーの手作り「偏」の3回目。
前回までに、
①D-101S(スーパースワン)です。
②D-37(16cm、FE168SS用 CW型)
③D-102(10cm、FE108Σ用 ブックシェルフ型)と
きましたが、
今回は④D-99(エイトマン・・8cm、FE88ES用 ブックシェルフ型)
の話を書きます。

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頭のDは故長岡先生がバックロードホーンにつけた命名の・・確か「ダイナロード」だった?・・・の略の「D」だと思います。
先生が、かつて、どこかのスピーカーのメーカーさんの依頼で、バックロードのスピーカーシステムのネーミングを頼まれて考えた商標・・だったように?思います。(確か何かの理由で使われなかった名称で、それが権利を取れたかどうか?など詳細はウル覚えですが・・・)
このダイナロード・・・略してD、・・先生設計のバックロード方式のスピーカーの型番の頭・・に使われています。

では・・・。
口径8cmのD-99です。
ブックシェルフ型バックロードホーンD-99(エイトマン)。
これも長岡先生がご逝去後に、追悼特集の雑誌、不思議の国の長岡鉄男①・・で製作記事を見て、興味を持ちまして、制作する事にしたスピーカーです。
先生の図面の通りに作り、アレンジは開口部の奥の三角の材料と、その下の部分に板の補強用でベニヤを追加したのみ・・・が変更点です。
もともと、この手の形のスピーカー制作では、D-102の制作経験もありましたが、ホーン開口が前面で、低音を前に出すタイプのブックシェルフ形のバックロードホーンは好きでした。
ユニットも小さな口径で25khz以上まで伸びていると言われる、このFE-88ESと言うユニットを使用します。
これはツイーターも不要なので、相当音も良さそうに仕上がると感じられ、かなり気になりました。
このユニットの購入は、たまたま秋葉原のコイズミ無線さんにフラッと立ち寄った時に、偶然見つけました。で、制作とか設計の目的があったわけでは無いのですが、「限定ユニットは買っておくべき」・・と言う発想で、小型ゆえお値段もそこそこでしたし、お小遣いで「買い置き」してありました・・。

長岡先生は、かねてから雑誌の記事で、D-102は珍しいブックシェルフ型のバックロードホーンで、大変完成度が高いので、なかなかその後の発展が出来ない・・・と言うような主旨のことを言っておられました。
ですので、原型のD-102は小生が10年ほど前に作った時点より、さらに相当以前の設計で、古い作品だと思いますが、その後の改善版などの発表が無いので、皆さん新しいユニットを使用するケースでも、これを土台にして作っていたようでした。

そういう状況の中、今回は新しいFE88ESユニットの発売を期に、雑誌社などから、このユニットを使った新機種の設計を多数依頼されて、やることにした・・・的な経緯が書いてありました。
小生にとっては長岡先生の久しぶりのブックシェルフ型バックロードです。なんと嬉しいことか!!ですねえ。

小生はD-102の時に「この設計は天才的だなあ」と言う感覚があり、是非また新しいユニットで・・この類で、新しい違うのを作りたい!!と思っていたので、限定発売のFE88ESという口径わずか8cmでも大変強力なバックロードホーン用のユニットを使うこのD-99は、『作ってみたい工作』・・の最右翼になりました。

先生はこのスピーカーD-99を発表した製作記事中で、「超ハイCP機」「誰もが納得の高音質」と言ってらっしゃいましたし、制作当日同席した一般読者参加の試聴会で、これが欲しい・・持って帰りたい・・と言う人が出てきて編集部が慌てた・・・というくだりもあって、なおの事、作りたいと思ったのでした。
{CPはコストパフォーマンスの事です。・・・価格対性能比・・ハイCPは価格が安くて性能が良いということです・・・。}

小生は図面上の素人判断からでも、このD-99を直感的に「良い」と感じていました。
と言うのは、つまらない経験からの自己流解釈なんですが、以前のD-102では開口部の高さが低く、潰れた横長の形の穴であり、それがこのスピーカーの低音が出にくい原因か・・とも素人的に考えた事があるのです。
先生ご自身も「本当は開口部をもっと大きくしたかったのだが・・・」的に、何かの原稿で書かれていましたし・・・。
で、その開口部の大型化という視点で、今回のD-99を見ますと、開口部は平たいどころか「縦長」で大きいのです。
小生は勝手に、今回は開口部の形や補強など、D-102で残った課題を解決しているのだな・・などと一人悦にいったものです。まるで、先生と会話をしている気分でした。

ということで、この小型で可愛いD-99の工作なのです。(今回からは、比較的最近の製作ですから、結構デジカメの写真もありますし・・・)

1.板材の手配
板は15mm厚のシナベニヤをドイトさんで購入し、カットを依頼しました。
もちろん直線カットのみで、丸いスピーカーの穴あけや、四角い開口部の穴は自分のドリルとジグソーで開けます。

2.パーツ確認と下準備
パーツをそろえて過不足を確認し、組み立ての開始です。
まずは、寸法の確認です。
音道構成パーツは前面側はすべて幅70mmで、後ろ側は100mmです。
平らな板の上ですべてのパーツを背比べするようにきっちりくっつけて揃えて見ると、狂いがある物が出っ張ったりします。この段階で出っ張るパーツにカンナを掛けたり、ヤスリで削ったりして直します。
これは後々、組み立てが楽になるコツみたいなものです。
事前の準備としては、さらにフロントバッフル板に、裏側からスピーカーの取り付け用の爪つきナットを打ち込んで、つけておきます。
この程度のサイズのユニットでは取り付けるネジは4mmです。従って爪つきナットも4mmです。
そうしますと、この爪つきナットの外形が5.5mmくらいですから、穴は5.5mmの穴となります。穴の位置は図面的にも割り出しますが、早いのは現物での確認です。
穴の中心を出すためには、穴を開けて切り離した丸い不要な部分を中心に戻し入れて、中心からネジまでの距離をコンパスで墨付けしてから、丸い部分を外し、穴にユニットを置いて、ユニットの取り付け用の穴にコンパスの鉛筆の線が見える範囲で、キリでチョットだけ穴を開けると安心です。
・・・この方法ですとユニットがバッフルの穴に対して、左右などに偏ってしまいませんし、寸法のミスも現物で確認可能で安全です・・。

3.組み立て・・音道
長岡氏の図面のパーツの番号で、前後を分ける①のパーツが組み立ての要です。このパーツの上に音道を構成をするパーツ②~⑨を並べて、こんな感じに取り付けるのだなと、まずは、あたりをつけます。
①の板には図面どおりの寸法で、取り付けるパーツの線を、鉛筆でライン書きして入れておきます。
そうしましたら、いよいよパーツに木工ボンドを付けて、板に描いた線に合わせて貼り付けます。
体重をかけ3分~くらい押し付けていますと、速乾の木工ボンドも落ち着きまして、一瞬板を裏返す間くらいは剥がれず、ズレず、にいてくれます。
このズレない程度の状態が重要です。
そこで裏返して、裏からドリルでネジ用の下穴を開け、ネジの頭が出っ張らずに入り込むようなザクリもやってから、コースレッドと言う細身の木ネジを捻じ込みます。
ネジの間隔は適当です・・。
狭くて5cmから、広くて10cmくらいでネジを打ちます。
小生の場合、組み立てには釘は使いません。
コースレッド(木ネジ)は下穴など面倒ですが、強力に締め付けられますから、釘より強度抜群になるのです。
もっとも面倒がって直径2.5mmの下穴をきちんと開けませんと、板がネジに押し広げられて割れる事がありますから、工作は楽ではありませんが・・・。

ドリル径は2.5mmを使い、ネジ頭が出っ張らないように円錐型の穴を開ける・・・ザクリは・・・それに向く専用のキリを使います。
コースレッドは32mmを主に使っています。
写真をご参照くださいませ。
このやり方で、作業効率アップのために、小生は組み立て時はドライバー・ドリルを3台同時に使います。
下穴あけ用、ザクリ用、とネジを締めるドライバーの3台です。
3台使うと刃やドライバーを、その都度付け替える時間が短縮でき、早いです。

最近はAC(家庭電源)の電動ドライバー・ドリルもオークションで1500円くらいですし、充電型のものでも3000円くらいで結構良いのがあるので、3台使っています。
このボンド、裏返しネジ止め・・作業の繰り返しで、前面側の音道は完成します。(写真)
裏面側も基本的に同様ですが、板の貼りあわせがあります。
板の貼りあわせは、ズレたら困るので、まずボンドを付けずに板同士をきっちり合わせ、下穴をだけ穴あけします。ドリルの刃が板2枚を貫通しないように、ドリルからの刃の出方を30mm以下に調節します。
4箇所くらい穴あけしてからボンド付けし、貼りあわせ、5分くらいでボンドが落ち着いたら、ネジが貫通して飛び出ないようにやや短い25mmの長さのコースレッドで締め付けます。
こうして貼りあわせは「穴が先」「・・それからボンドで接着」「コースレッドを締める」とやると、うまく行きます。
もちろん穴あけした時の通りに貼り合わせませんと、穴がずれ意味がなくなります。
ボンド付けのとき、部品の裏返しをしないように上が分かるマークをしておきます。
裏面のパーツもこれで①に着けられ、音道の概要が完成します。
そうしましたら、後は組み立て順どおりに、その他のパーツを取り付けていきます。

4.組み立て・・・配線
前面のバッフル板と後面の板を取り付ける前に、スピーカーのコードを通し、端子を装着する準備をしませんと、後からでは取り付け不可能になりますので、段取りを忘れないように、あせらずじっくりやる必要があります。

20070114_002.jpg

コードの長さも重要なポイントです。十分な余裕を見て、後ろの端子の穴から出る部分が
30cm以上とたっぷりにしておきます。
前のバッフル板からも40cm以上の余裕を見ます。長い分には後で切れますから・・・。
特に前面はコードの長さに余裕があると、スピーカーユニットの取り付け、半田付けなどの時に、スピーカーユニットを箱(エンクロージャー)の上に乗せて作業が出来ます。
この余裕が45cmくらいなのです。
本体25cm、後ろ30cm、前45cmでで、トータル100cmです。意外に長いですね。余り過ぎたら、後で切ってください。(写真ではコードが短くて失敗し、後からやり直しています)

①に直径4mmくらいのコードの通る穴を2箇所あけ、スピーカーのコードのプラスとマイナスを通しエポキシ系ボンドで穴をふさぎます。
想定するコードの接着位置にマジックなどで印をしてからコードを板の厚み分の15mm程、引き出して、その出した部分の周囲全体にボンドを塗り、印までコードを戻すと、穴の中までボンドが行き渡ります。
コードを回してボンドを馴染ませるのも良いと思います
なぜエポキシボンドかと言いますと、穴の奥まで固めるためなのです。
溶剤系で乾燥させるタイプのボンドを使用すると、空気の入らない奥の方が固まらず液状のままになってしまうのです。
その点、エポキシ系のボンドはA・B、2液の反応で固まるタイプであり、空気・乾燥を必要としないので、穴の中の奥でもきちんと固まるのです。
配線後に後面の板をつけるとき、事前に端子用の穴・・大体10mmの穴を二つ・・開けておきます。そして後面の板にはコースレッドを締めるための穴を開ける位置に、鉛筆で線を入れておきます。
この状態で本体側に木工ボンド(速乾ではない普通の)をつけて、後面の板の端子の穴にコード2本を通し、先を軽く結んで抜けないようにし、接着します。

20070114_003.jpg

5.組み立て・・・後面とバッフル~開口部の三角材
後面の板がズレが無いように角を決め、コースレッドをまず四隅に打ちます。
ボンドが落ち着いてきたら、5cmおきくらいにドンドン下穴をあけザクリ、コースレッドを打ち込みます。
はみ出た木工ボンドは水溶性ですから、ぬれ雑巾でドンドンふき取っておきます。

オリジナルの図面では、開口部の後ろ半分の下側に板がありませんが、これは追加でベニヤ1枚を補強に加えるべきと思います。
断裁したときの余りのベニヤ板から切りだして、ボンドと裏からのコースレッドでしっかり固定し、その上に三角材をつけます。

20070114_004.jpg

三角材は開口部へ低音を押し出すために大変有効なようです。
小生は大きな柱の様な、一辺が8cmくらいの角材を手のこで(のこぎりで)斜めに裂いて使います。これは「のこぎり」の縦刃(たてば)で無いと切れませんので、両刃の「のこぎり」がぜひ必要です。
これを鋸で切るのはかなり難しいですがホームセンターなどではやってくれませんので、練習してこつを体得してやる以外無いようです。
音道の途中には高音吸収のフエルトを貼ったりという工程もあります。
そして、最後に前面バッフルの装着で、組み立て終了です。

6.仕上げなど・・。
これで組み立ては完了ですが、塗装などの仕上げが待っています。
仕上げは個々の趣味ですが、小生はこのスピーカーでは、「との粉」を水3、木工ボンド1くらいの割合で溶いて塗って目止めをし、軽く400番のサンドペーパーでサンディングし、その上から2液性のウレタンエナメル塗装(ブラック)をしています。
塗料はいつも「おもしろ塗装工房」さんで買っています。
http://www.tosou-ya.comをご覧ください。
2液性のウレタン塗装は、ピアノの様なフィニッシュになります。
完成すると強くて綺麗です。
(塗装工程も色々ありまして相当長くなりますので、今回はこのくらいで・・)

20070114_005.jpg

7.完成
いよいよ・・・試聴です。
実際は塗装の前に仮にスピーカーをつないで音出しをしてみたのですが、まずボーカルが良くて、ビックリしました。
全般に音は抜けが良く、スピード感も相当良いものでした。
8cmとは思えない低音の豊かさに、持ち前の高音の抜け。
凄い性能にニコニコ笑いが出てしまう・・・そう言う感じなのでした。
エージングもしていないのに、のっけから凄く良い音で驚きました。
FOSTEXさんの新世代のユニットなのだなあ・・と思いました。
凄いです。
これは、スーパースワンに負けていませんでした。
いや、掛ける曲によっては、上回っていたかもしれない・・くらいでした。

このスピーカーは、軽くて小さいので、結構その後、色々と楽しい事をやりました。
某会社、社長様のオフィスで他流試合もやりました。
相手は先方様の会議室に設置されている名機J○×の、30cmウーファーの3ウェイ。
音質の優劣は、好みの問題もありますので、置くといたしまして、
しかし、それでも社長様、大変驚いておられました。

これがわずか直径8cmのスピーカーからの低音か?!・・・と。

このD-99はその後、あるお友達に大変気に入られ、オレンジ色の台と共に、横浜方面に嫁いでいきました。
かなり気に入ってくださいまして、大事にされているようです。
このオレンジ色の台は相当苦労して作っています。
柱の部分の中に乾燥させた砂を充填しています。
砂の乾燥は、屋外で古い中華鍋に砂を入れ、キャンプ用のコンロの上で砂を炒るのです。
かなり大量の砂を必要としますから、鍋で砂を炒って、新聞紙の上で冷まし、を何回も繰り返しやるのです。
これは相当、根気が要りますが、重量もあって良い台になります。

D-99は、確かに「超ハイCP」の素晴らしいスピーカーでした。

次回は新ユニット用のD-99ESRです。
これは自分の書いた図面ですから、皆さんに公開出来ます。

※このバックロードホーン形式のスピーカーは、好き嫌いがはっきり出るスピーカーのようで、全くダメで、嫌いと言う方もいらっしゃると聴いております。
耳が良くて、周波数が分かるようなタイプの方にとっては、低音の特定周波数のピークとディップ(特性の凸凹です)が耐え難くて聴いていられない・・・とか、中・高音が雑で・ラフで、うるさくて聞けた物ではない・・・という方もいらっしゃるようです。
有名なスーパースワンでさえも、お作りになってすぐ後、聞けた物ではないので、捨てた・・と言う方もいらっしゃるそうですので、この自作スピーカーについての内容は、あくまで小生の感覚・自分の好みでございまして、客観的な比較や性能の説明とは申せませんので、その点、一ユーザーまたは小生が譲った友人の方の主観といたしまして、悪しからず、お許し頂ければと思います・・・。

02-14-07 16:27 | 先頭へ↑