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「手作りスピーカー しょの2」
1本作ると悪乗りして・・・2本目・3本目も・・・と言いますのが、この『しょの2』以降の話です。
今回はスピーカーの手作り「偏」の2回目です。(笑)
何しろ自作の趣味は、置き場所も無いのにドンドン台数が増えますから・・・(笑)
スーパースワンの好結果で味をしめて・・・制作して半年くらいから、もう次の作るものを物色し始めていました。
スーパースワンがこんなに良いんだから、長岡先生の設計の然るべき2作目を選択し、それを作って、「2台をスイッチで切り替えて、それぞれの違い」を楽しもう!!等と調子に乗りましたのです。
自作の結果が良いと、「聴くために作る」と言うより、だんだん「作るために作る」と言う調子で、作る事自体が楽しくて、「目的」になって・・行きます。
困ったものです・・。
長岡先生のスピーカー制作関係の本も、この頃では、数冊持っており、熟読していました(笑)。
当時、小生はオーディオにまた目覚め、雑誌も定期購読し始めていました。
月刊ステレオ(音楽の友社)です。
この雑誌には、長岡先生が新作スピーカーを考案されると、そのかなりの部分を発表していました。
特に毎年7月号のクラフト(手作り)の特集では、何作も設計され、成果を出されていました。
D-37・・・という、少々大型のバックロードホーンスピーカー。
FOSTEXさんの、口径16cmの限定ユニットを使用したこのスピーカーが、当時の小生の憧れになっていました。
超強力型バックロードホーン用ユニットを入れた、CW型バックロードホーン。
CW型とはコンスタント・ワイズ型のこと・・・幅が一定で高さ方向が変わる事でだんだんに音道が大きく広がってラッパ状になっているタイプのこと・・・。
ちなみにスーパースワンの音道は、幅も高さも途中でドンドン変わりながら拡大してくるのでCW型ではないですね・・・。
2作目にしては、このスピーカーは大変大物ですが、これを作ろうと決心しました。
ユニットはFE-168SSと言うユニットです。
口径は型番どおり16cmですが、マグネットはなんと2枚重ねで超・超・強力です。
このユニットではコーン紙を強力な磁石が引っ張っているので、(こう言うユニットを「オーバーダンピング」のユニット・・ダンピングし過ぎ・・・と言うようです)コーン紙が軽くは動かないので、普通のバスレフなどの箱に入れても低音不足のひどい音になる・・と言われるユニットです。
しかしバックロードホーンで、設計がうまくピッタリ合いますと、ハイスピードで締まった(豊かな)凄いリアリティーの低音が出てきます。
凄い・凄い、鳴らすのも難しい、手強い強力なスピーカー・ユニットなのです。
チャレンジを開始しました。
板材はまたFOSTEXさんのカット材を利用しました。
このカット済みの材料はお高いですが、カットの精度が良いという事で・・当時はこれを利用していました。(最近は有名な広島のMAKIZOUさんにカットをお願いしています)
このスピーカーは出来る限りの丁寧さで組み立てました。
ユニットの取付けには、開口部のネジ穴部に裏側から「つめ付きナット」と言うのを打ち込んで、表からのネジ止めを可能にし、緩んでボロボロになりやすい不安定な木ネジでスピーカー・ユニットを固定しないようにしました。
木ネジは木の繊維をネジの螺旋が押しのける分だけの力で効くものですから、金属と木の摩擦の力が限界です。
しかし、金属のネジとつめ付きナットの場合は、文字通り金属のネジ同士の締め込みになるので万全です。
また、木ネジによるユニット取り付けでは、その後の調整などでユニット交換をしたり、2回3回とユニットの着け外しをしますと、ネジ穴が大きくなって、ユルユルのバカになってしまいます。
この工作では、組み立てた音道の直角のカーブや、180度の折り返し部には、外側に三角の板材を付け、音が反射してスムーズに音道を進むようにしました。
この加工は長岡先生の設計制作レポートには無いやり方です。
先生はそこまで丁寧な事はしないで制作し、性能を測定しています。
何でか?を考えたのですが、長岡先生は、このスピーカー制作で、誰がやっても同じ事ができるように、結果が近づくように、再現性が高いように、板の材料は普通のシナベニヤで作るし、三角材によるスムーズな音道作り・・・の様な難しい加工などをやらないのです。・・・これは本当に見識ですね・・・。
それで変わったモノを選んだり、難しい加工などをしていないのです。
で、実際のバックロードホーンでもこの三角材の効用は諸説ありまして、小生には良いのかどうか、分かりません。
低音の豊かさのためには、かえって、こう言う凝った三角材の工作・配慮をしない方が良いという話もありますので、大変微妙です。
三角材のコーナーの効用は精神安定だけに効果的という方もいるようですから・・・。
まあ、やらないよりはやった方が良さそうだ・・くらいでしょうか。
でも、やるとなると、こう言う加工は本当に根気が要ります。
色々な太さの角材を買ってきて、それを長手方向に斜めに割いて使うのですから・・・。
角材の斜めのカットはDIYのお店では、機械で出来ないので、引き受けてくれませんので、自分の手で鋸で切ることになります。
これはなかなか難しいし、体力的にも結構大変です。
足の裏で角材を踏んで固定して、鋸のたて引きの刃で切ります。
音道を形作るパーツごとに、丁寧に木工ボンドと木ネジで組み立て、それらを組み合わせて側面の板に固定するのですが、その側板への固定には、音道の5cmおきくらいにコースレッドという細身で板の割れ難い木ネジで、パーツを固定するのです。
これで、「箱」はコースレッドでガチガチに締め上げられて、大変強固なものになっているはずです。
素人の工作では、やはり木工ボンドとコースレッドの使用が強度を決めると思います。
強いのは釘よりネジ・・ですね。(しかも接合面は木工ボンドで固めていますから・・。)
当時はまだ2作目で、
①段取りが悪い。なにかと要領が悪い。
②失敗しないように過剰に丁寧で三角材などに拘りすぎ
③仕上げにカシューという乾燥時間が掛かる人工の漆塗りを選択
等のせいで、工作期間は6ヶ月掛かってしまいました。
殆どはカシューと言う塗料の乾燥を待つ時間でしたが・・・。
一回塗ると完全に乾燥して次に耐水の紙やすりで研げるようになるのが3~4日後くらいなのですが、会社の休みの関係で1週間おきにしか作業できませんでした。
塗って、翌週研いで塗って、また1週間後に研いで塗って・・・の繰り返しです。10回近く塗ったでしょうか・・・。とても下手でしたから・・・。
塗装が終わると今度は砂利入れです。長岡先生の設計のバックロードホーンの箱では、D-37のようなCW型の場合、音の出口部分が、だんだん広がる階段のようになっており、その階段の一段一段に砂利を入れて階段の形を整え、かつ砂利で重量を持たせて低音の再生に備えています。
やはり重いと箱の振動を押さえ込めて、低音が前に出るそうです。
綺麗な砂利を・・と思い、茨城県産の寒水石(かんすいせき)という白い結晶質石灰岩の砂利をホームセンターで購入し、水で荒い、天日で乾燥させ入れていきます。結構な量が必要で、洗った砂利を乾燥させるのが容易じゃあありませんでした・・。
本当にすべてが根気でした。
完成したD-37は真っ黒な、文字通りの漆黒。
ピアノブラックのD-37は美しく完成し、なんとか音出しの日を迎えるのです。(6ヶ月は本当に気が遠くなりました・・・息子が2歳の頃だったので子供部屋が工作室に流用できたからこそ・・の工作でしたが・・・)
音出しは、やはり「ひどかった」・・・のでした。
モコモコ不自然なギターの音、鼻をつまんだような女性ボーカル。キンキンして低音が出ない。特定の音で共鳴してカンカン、ボーボー言うような感じがします。
スーパースワンの作りたての時の音より、遥かに酷い音でした。
いや作ったのを一瞬後悔した位、本当に情けないほど酷い音でしたねー。
この頃のパルプでできたコーン紙のユニットはエージング(加齢・・・AGE INGですね。いわば慣らし運転でしょうか)に時間が掛かるようでした。(現在ではコーン紙の素材が変更されて、小生の感覚では殆どエージング不要な程、初めから結構良いそこそこの音が出てます)
こう言うユニットのエージングはユニットの大きさが大きくなる毎に時間が掛かる様に成るとは言いますが、直径16cmの大型のスピーカーだけあって、本当にエージングにも時間を要し、絶好調!!になったのは、なんと、「一年後」くらいから・・・でした。
(このエージングの時間については、知識として本で読んで、知ってはいましたが、実際に一年ほど掛かったのは妙に驚きに感じました。)
しかし、しかしです!!
エージングが進みますと、これまた作りたてとは別物でございました。
高音域の切れ・切れ込み、低音の締まり、量感、中音域はもともと大型とはいえ、フルレンジ・スピーカーですから、大の得意で、澄み切って浸透力がありました。
何を聞いても最高です・・。ジャズ・フュージョンは特に良かったですが・・。
本当に始めて体験する音で、ストレートで情報量が多く、切れも抜群で迫ってくる・・・と言う音でした。
大変気に入りました!!!
これがバックロードホーンの音か!!と感動したものです。
音が「ツブツブ」になって顔をめがけて凄いスピードで飛んできて、「パチパチ」当たるような感じがしました。
音楽が余りにも情報量が多く、かつ凄いスピードでこちらをめがけて飛んでくるので、結果としてイージーな“ながら聞き”には不向きで、音楽と真剣に対峙する聞き方を要求されてしまい、リスニング後は少々疲れてしまうくらいのスピーカーでした。
こういうスピーカーを聞くと、音楽に心が持っていかれてしまう分、他の嫌な事を考える余裕が無いといいますか、忘れているようで、本当にストレスが取れるのを感じました。
D-37はこの後しばらくスーパースワンと2台でエースとして活躍しました。
2台を切り替えて、ジャズ・フュージョンはD-37、クラシックやボーカルはスーパースワンでした。
ですが、また数年後には、このエースも新しいユニットのD-37(ES)を作るために置き場所が無いので、知人に下取られて貰われていきました・・・。
現在は上尾方面で、元気に活躍しているそうです。
こうして、自作のスピーカーを数台作ってみて、なぜ、それがこんなに音が良いと思えるのか?を改めて素人の小生が考えて見ました。(もちろん自分の好みもありますが・・・。)
すると、それは、結局、低音から高音まで一個だけのスピーカーで鳴らすフルレンジスピーカーを使っているからだろう・・・に至っています。
よくある市販のスピーカーのように、低音・中音・高音と三つのスピーカーで鳴らす方式を3WAY(スリーウェイ)方式と言いますが、この場合音を低・中・高と分けるために抵抗やコイルやコンデンサーなどの電気部品を使った回路が必要になります。
この回路=ネットワーク回路と言います・・・が小生の好む音、直截な音、何も足さない何も引かないまっすぐな音、には良くないのだと思います。
微妙に言いますと、音の出るタイミングがズレる様だ・・とのことです。
低音用のスピーカーと中音用のスピーカーと、高音用のスピーカーに同時に音が来ても、回路を通る事で、各ユニットが一斉に動かずに、ほんのチョット動き始めがズレる・・・。
こう言うことを「位相ズレ」とか言うそうですが、こう言う微妙な事が、人間の感覚では分かるようなんです。
フルレンジでネットワークが無いと良い音だ・・という感覚は、アメリカのCESでEPOSという回路を廃したスピーカーの音質に出会った時から、やはり変わらず・・・そうだ・・と小生は思っています。
もちろん諸説有りますようで、高度に設計制作されたネットワーク回路は、相当良い音なのだそうですが、我々素人が作る場合には、メーカーの技術者さんの様な高度な耳がありませんし、コンデンサー1つを決定するのに何十種類も聞き比べて決定するような環境もありません。
ですので、ネットワーク回路の高度なチューニングは、素人には殆ど不可能と言うか、難しいのではと思っています。
ですので、素人の自作スピーカーシステムはフルレンジスピーカーで作ると、結果的に安全ではないかなあ・・・と思っています。
そして、出来ればフルレンジには高品質なスピーカーユニットを使い、低音を補うのは箱(バックロードホーン)というのが、あくまで自作の場合の良い選択では?・・と思っています。
(この後、小生は相当な数のスピーカーを作りますが、1台を除いて全部がフルレンジ・バックロードです。)
長岡先生設計のスピーカーの自作経験では、このD-37の後に、D-102と言うのが有ります。(その後も殆ど長岡先生の設計を作ってますが・・・)
キッカケはスーパースワンに向く新型ユニットが開発されたので、ユニットを交換したからでした。
新型の10cm口径のバックロード用の限定ユニットがFOSTEX社から出ますと、このユニットを無理しても購入し、スーパースワンに導入します。
ユニットを交換をしますと、古いユニットが外されて・・・余ります・・・。
もったいないのです。これが・・。
この余り・・の有効活用で新しいスピーカーを作る大義名分が出来てしまいます・・・。
結局D-102というブックシェルフ型のバックロードホーンを長岡先生の設計どおりに作る事にしました。
このスピーカーは、棚などにも置けるブックシェルフ型であるにもかかわらず、正真正銘のバックロードホーンでありました。
普通の箱の形状の内部に、バックロードの複雑なホーンを折りたたんで収めた設計は、空間を立体的に認識する設計能力・センスの賜物と思われました。
この設計は本当に天才のものだなあ・・と感心し、大変気に入ってつくりました。
安いラワン合板を購入し、ドイトさんで直線のカットだけしてもらい、丸い穴や四角い穴はジグソーを買って自分で加工しました。
例によって図面どおり組み立て、ラッカー塗装で黒く塗り、ユニットを取り付けました。
そこで、スーパースワンとの違いを思い知ったのです。
同じ長岡先生の設計によるバックロードでもこのD-102は・・・設計が古かったのです。
FE-108スーパーのような強力ユニット向きの設計ではなかったのです。
作ってみると、箱に対して余りもののFE108スーパーというユニットが強力すぎました。
低音が全然出ませんでした。
スーパースワンで2年ほど使ってきたユニットなので、もうエージングは十分出来ているユニットです。それでも低音が出ませんでした。
これには参りましたが、結局何の事はなかった?のです。
限定の強力型ユニットの流用を諦め、FE108Σという普通に定番で売っている、やや弱いバックロード用のユニットに入れ替えました。
そうしたらこの箱が生き返りました。低音が元気よく出たのです。
箱とユニットには、設計上の合う合わないがあるのを知りました。
余り品のユニットの活用の筈が、新しいモノに出費することになってしまいました。
もともと、このスピーカーはローコストに作るためにシナ合板を諦め、安いラワン合板を採用し、かつ、ドイトさんで安くカットもしてもらい・・と頑張っていたのに・・・結局2万円ほどの出費でした。
えてして、そう言うものでしょうかね・・・。
このD-102はユニットも標準型で、それほど凄い音では無いのですが、バランスがよく、聴いていて疲れない音質でした。
スーパースワンでは低音の出るラッパの出口は箱の後方に大きくポッカリ開いています。
後方出し・・・なのです。
低音というのは、人間の耳では音のする方向を聞き取れませんので、後ろから低音が出ていても問題は無いはずなのです。
D-102は前面開口・・・。これは、これで気に入りました。
低音は何処から聞こえても良いはずなのですが、小生はこの前面開口で、ユニットと近い「穴」から聴こえる低音を気に入ったのです。
・・・ユニットと低音の出口が近いことから来る自然さ・・もあると思いました。
このD-102スピーカーは一旦は兄にあげたのですが、結局余り活用されず、小生のオフィスに出戻ってきたので、小生が使っておりました。
すると、これを見初めた人がおり、その彼に拉致されました。
現在は代々木方面で放送関係の分析などの仕事をしている友人オフィスで、活躍しているそうです。
その後、このブックシェルフ型のバックロードは大変気に入りましたので、色々類型を作る事になりました。
長岡先生が逝去されましたので、この設計を下敷きに、仕方なく自分でFOSTEXさんの新しいユニットが発売されると、その新ユニットに合わせて、このD-102や同類のD-99をマイナーチェンジして新たに図面を書いてつくっております。
現在では小生は、おそらくこのブックシェルフ型バックロードを最も作った男・・の一人になると思うのですが・・・。
大げさでした。・・・すみません。
自分が設計変更したものも含めて、3台のブックシェルフ型のバックロードを作っただけでした・・・。ごめんなさい。
D-102(長岡先生作品)
D-99(長岡先生作品、FE-88ESと言う8cmの強力限定ユニット使用)
D-99ES-R(先生ご逝去の後、発売された8.5cm強力限定ユニットFE-88ES-R用に、D-99を土台に自分で数値バランスを計算しアレンジしたもの・・ひと回り大きくなり、別物です。これは追って制作記と図面をお見せいたします)
と3台作りました。
設計だけでしたら、10cm用のD-102を現在のFE108ESⅡという最新ユニット用に全面的に変更したものも既に完了しています。
この続きはまた・・・
※このバックロードホーン形式のスピーカーは、好き嫌いがはっきり出るスピーカーのようで、全くダメで、嫌いと言う方もいらっしゃると聴いております。
耳が良くて、周波数が分かるようなタイプの方にとっては、低音の特定周波数のピークとディップ(特性の凸凹です)が耐え難くて聴いていられない・・・とか、中・高音が雑で・ラフで、うるさくて聞けた物ではない・・・という方もいらっしゃるようです。
有名なスーパースワンでさえも、お作りになってすぐ後、聞けた物ではないので、捨てた・・と言う方もいらっしゃるそうですので、この自作スピーカーについての内容は、あくまで小生の感覚・自分の好みでございまして、客観的な比較や性能の説明とは申せませんので、その点、一ユーザーまたは小生が譲った友人の方の主観といたしまして、悪しからず、お許し頂ければと思います・・・。
「理想の車」
以前、書きました四角い車・・に続きまして、車については自分の考え・気持ちの変化も有り、最近も考えるところ・・大いにありです。
二つの視点・感覚で考えております。
一つ目は、もう『パワーエリート』って感覚の車は、時代にマッチしないんじゃないのかなぁ?・・という感覚が自分の中で、でき始めていることです。
そう言う変化が、なぜか最近あるのです。
オラオラ走り、ドケドケ走り、割り込み・・等の印象が強いこの車たち・・・。
以前は結構いいな・・と思い、欲しいとも思って、憧れていたこの車たち・・・。
パワーエリート(この言葉、小生は現代的な成功した、ややIT的なお金持ちの社会人・・風に使っています)にフィットする成功の象徴としての車・・・有名なドイツ車などが顕著にこう言う役割と思いますが・・・。
今は、もっと環境に優しい感覚。
自分の主義を身にまとう、質素な感覚の車・・が良い様に「ちょっと」感じ始めております。
で、そう言う視点で考えますとこれはこれで、ピッタリ来るのがなくて、現状の車たちに寂しさを覚えます。
車のつくり方の業界スタンダード??には、封建的な身分制度のような地位・格付けにあわせた車格・ランクが厳然とあるように思うのです。
それが自由なユーザー志向の取り入れの邪魔をしていると思います。
業界常識がお客様と乖離しているのでは無いでしょうか?
以前もSUVのカーゴスペースが小さくて、自動車会社の人はデイキャンプしかしないのだ!!と決め付けた様な事を書きましたが・・・。
ものの本では、現在を不連続線上の市場だといっております。
昨日のよかった事や、昨日の正義や昨日の正解は、一夜にして不正解になる市場だそうです。過去の成功体験、不文律などは通用しないと聞きました。
それでも業界は・・・。
1000ccの大衆車(この言葉がすでに凄いです)より1500ccが上。
1500はセダンからワゴンまでありますよ・・。
若者はこのクラスのハイパワー、ちびっ子ギャングをどうぞ・・。
課長さんになったら2000cc以上をマークしてください。
部長さんは『・・代表的な日本の高級車を・・』ぜひ!!。
経営者さんは、パワーエリートの車を・・高級外車を・・。
値段はきっちりと並んでいるがごとくに、「車格」を踏襲して「階級化」している。
ラインアップが大きく変化はしていないと思います。
蛇足ですが、ヨーロッパの高級車メーカーは、自国内で売っているタクシーなどにも使える安い仕様・モデルを日本には決して持って来ないと聞きます。
バカにした話??ですが、日本人にはお値段の高いモデルを売るそうです・・。
その方が、日本人が喜ぶから・・・だそうですが・・・。
この車格による階級化?には、今や感覚的にも凄い違和感があるのです。
もちろん小型・高級という新しい切り口の車の提案も日産さん、マツダさんあたりを皮切りに、出始めていて、「芽」はあるように思いますが、階級を超える程のものは、まだまだ「無い」ようなのです。
例えばこんなんは?どうでしょう?
1500ccくらいで、手段はともかく何しろ超低燃費、低公害。
ロハス?でしょうかね。
ボディーは小さ目のサイズ・・・以前小生が言っていた、四角くて、車高が高くて・・・にはとりあえず拘らないで、ここでは置いておきます。
小さ目のサイズ・・だけにします。
でも内装は贅を尽くしている。
足回りやボディーの一部やドライブシャフト等にも、カーボンなどのとんでもない高機能な素材が走安性と乗員保護、安全性の向上のため、軽量化による燃費向上のために使われている・・。
新しい高級は、雰囲気・概念の高級ではなく、『素材の高級』だったりして・・・。
で、これに、内装の贅・・・で高級なイタリア産のなめし皮革を大幅に採用したり、もちろんウッドは本物で・・・しっとりと作りこんだら相当説得力ありだと思います。
さらにこれを、もっと冒険する気(根性)があれば、内装やデザインで相当に暴れてもユーザーの支持を得ることもできるように思います。
例えば、シート素材は最高の綿の刺子(さしこ・しころの類とか)など日本の伝統素材を採用し、夏はシートの表面を、い草の寝ゴザのようにしたり・・変更可能にする。
蒸し暑い日本の夏を快適に過ごす古くからの知恵を、美しくデザインして取り込んだり・・・。それをシート表皮の交換だったり、リバーシブルで裏返したりして・・と言う機能で提供するとか・・・。
内装は徹底して和の寛ぎで作り込むのも、そろそろ良いのでは・・・。
内装のウッドの表現もウオールナットやチーク調ばかりでなく「汚れない正目の白木(檜)」・・なども良いと思われますし・・。
まるで清潔な寿司屋のカウンターの雰囲気・・なんてどうでしょう?小生は好きですが・・。
後部座席のウインドウ・ガラスは合わせガラスの2枚のガラスの間に竹製の格子を挟みこみ自然な遮蔽にするとか・・・。
はたまた二枚のガラスにして、それぞれ、外側のガラス戸、内側の障子のように別々に開閉できるような窓にして、内側ガラスの表面に和紙のテクスチャーを加工し障子を演出するとか・・。
そもそも自動車=洋式・・これもそろそろ違って来ても良いような気持ちです。
内装を漆喰や砂壁にしろとは言いませんが、そろそろ新しいモダンな「和」を自動車に溶かし込んでも良いような気がします。
いや、むしろ意識としたら「砂摺りの壁にしよう!!」と言うくらいの根性・発想からスタートすれば、実際に相当な新しい事ができてしまうようにも思います。
さすがに、こういうジャストアイデアを作って下さいとは言えませんが、いずれにしても日本企業の中で、少し尖ったことをやる場合、相当にその責任者の方の人事リスクも高いでしょうから、根性が要ると思います・・・。
本質的に『企画マンが根性無しだと新しい事が出来ない』などと、あえて申し上げたりして・・。
でもです。そろそろ民族の車があってシカルベキ・・な気が「ちょっと」いたします。
おっとっと、脱線していないで、夢の車に戻ります。
乗り心地の追求も、この車の白眉にしたいです。
コスト度外視のアクティブサスを採用している・・とか。
さらに遮音性は相当に良く、トップクラスの高級車のレベルだ・・・とか。
スピードを出せと自動車が人間を追い立てる高性能ではなく、時速60km~80kmが十分楽しめるハンドリング・走行性能と言うのは、いかがでしょうか?
もちろんスピードを出したら十分速いし、どっしりと安定性抜群・・にしたいですが・・・。
亜熱帯に位置する日本(冗談ですが・・)らしく断熱性は世界最高レベルだ。
特にルーフの作りが付加物をつけた香港のタクシーすらを越えていて本当に凄い・・。などなど・・。お笑いですが、いかがでしょう?
(自動車が優れた断熱性能を訴えたって温暖化の昨今、そろそろ良いんじゃ無いでしょうかね・・なんと言っても日本は「亜熱帯?!」ですから)
モノコックシャーシの中に補強で発泡樹脂を入れる人もいますが、冷蔵庫の作り方のようにボディーを外板と内板で作り、その隙間を完全に発泡樹脂で補強断熱する・・・。
この場合、鉄板は相当薄くても強度は十分で断熱性は冷蔵庫の様に良いでしょうし・・・。
クラッシャブルゾーンには向かないでしょうが、樹脂充填で安全なボディーが出来ると思いますが?・・発泡条件の量産時のバラつきで「却下」でしょうかねー。
・・って言うような企画が、失敗を恐れずに350万円以上!!などの値札で売られても・・・正しいような気がするのです。
これは長い間、階級社会だったヨーロッパでは、出来ないのではないでしょうか。
日本だからできそうな気がしています。
時代は、従来のお仕着せの高級感やパワー戦争ではなく、新しい価値観、省燃費、低公害、かつ味わいのある、納得性の高い、新しい高級・・・等に動いているように感じている昨今です。
勝手なことばかり言っております。
お許しください。
でも、このコンセプトの車があったら、小生は責任も感じますので・・は冗談ですが、相当欲しい気持ち・・がございます。
二つ目の感覚ですが・・・。(これは1つ目とはなんら脈絡が無いので恐縮なんですが・・・。)
何で外国の人気車種に負けない車を本気で作らないのか?と言う疑問から来ている感覚なのです。
以前からこれについては単純に・・なのですが、ずーっと不思議でならないのです。
車の世界の常識では、外車は国産車より良いもので、値段が高いもの・・と言う常識があるように感じます。
これ、おかしくないでしょうか?
自動車産業が始まったばかりで、欧米から明らかに劣っていた時代の感覚。
この外車が上!!という感覚はもはや遺物の筈・・ですよね。
でも一方で、作るメーカーの方々にも、こう言う感覚が、もしかして・・・あって、外車と本気で勝負していない理由になっているのでは?と思うのです。
ごく一部の車を除いて、本気で外車を凌駕しに「行っていない」・・と感じられるのです。
なぜか国産車の企画は、『想定するベンチマーク相手の外国車より30%~40%安いのだから、性能面がやや下回るのは仕方が無い・・・』という限界を持っているように思われてならないのです。
価格からして、このくらいの性能が妥当だから・・・等と、勝ちに行かず、戦わない戦場を作り、そこで限定して商売をやっているように見えます。
なんで「完全に勝ってしまえる」ような戦いを仕掛けないのでしょうか?
国産の新興高級ブランドは、これへの挑戦を始めたのだろうとは思いますが、小生は『価格が高いブランド戦略』が必須とは思わないのです。
必要なのは良い車だ・・と。
値段も近づいてしまって、ほんの少し安いだけだが、性能は完全に超えた!!・・・は達成不能でしょうか・・・。
愛する日本のメーカーで本当に出来ないのでしょうか?
絶対的な値段の安さだけが商品企画の正義ではなく、コストとパフォーマンスのバランスで戦うべきだ・・・とは思いますが、そもそも勝つのってそんなに無理なんでしょうか?
これは難しいのでしょうか?
はたまた、このような真っ向勝負をやって失敗し、負けると、ご担当の人事リスク・・批判・・が大きくなってしまい、それに耐えられないから・・・なのでしょうか?
殆ど同じ価格になっても、『言い訳無しで欧州車に勝ってしまって欲しい』のです。
超えてしまって欲しいのです。
日本のメーカーさんは、本当は出来るんじゃないでしょうか?
もしドイツの名車に近い価格で、それらを超えろといったら、実際に超えてしまえる気がしています。
プランドの神話が・・とか、価格が通用するか?とか、理解されるか?とか、そう言う心配は不要だと思います。
そう言う定評はそれこそ、性能で越えてしまって、その後から付いてくると思います。
ブランドの競争は、まず性能で凌駕してから土俵につけるといいますか、始まるのではないでしょうか?
それから・・『神話は次のステージに入る』・・じゃないでしょうか?
超えるとは申しましても、「高級」を作って欲しいとは思っておりません。
性能面で超えて欲しいだけで・・・。
だから例えば、凄いエンジンとシャーシーとブレーキにあまりにも良いモノを投入し、性能を尖らせたので、標準の室内はビニールシートの商用バンのような内装になりました・・とか。
性能はドイツ車にも完全に勝っています。内装などを変更するのはオプションでどうぞ・・・。なーんて言われてみたいです。
これでは極端すぎて少々引いてしまう方も多いと思いますが、「超えた」の一種だと思います。
実際、愛車のスバル・アウトバックなどは、お客さんに、あと80万円、あと100万円のお金を出してもらえるのなら、某ドイツの名車を越える性能を実現できる・・・超えられちゃう・・のでは無いか?・・などと考えます。
WRCのラリーを見てもそう思います。技術的には出来るんじゃないかと・・・。
アウトバックのハイエンドモデルが実際に80万円上がったら、かーなーり厳しいですから、小生が買えるかどうかは全く別としまして、それでも相当ワクワクするとは思います。
逆の面から見たら、勝たない範囲でモノを作っていては、国際的な競争力が少々心配!!とも思います。
国際競争力だけでなく、会社が「尖がった突き詰めたもの」を作れない体質になるのも怖いですが・・・。
おおよそ商品が、他社と同様な、良く似たマトメ方ばかりになるのは、組織の論理のせいだろうと思います・・・。
ヒットしているものを(謙虚に?)パクって・真似ても失敗したんだから、責められない、しょうがない・・・。
チャレンジして失敗したら、それは「お前が悪い」と特定できる・・・。
こんな仕事のあり方は酷く夢が無いですね。
情け無いです。
車のカテゴリーや車格の話は本当に嫌です・・・。
小生もクロカンの機能をボクシーで背の高すぎないミニバン的な四角いボディーで実現して欲しい・・などと、ミニバンとクロカンの合わせ業を切望しておりましたが、ホンダさんからそう言う四角い車が出るそうでして、凄くありがたいのですが、ホンダさん自体か、自動車雑誌さんか?どちらの主導かは知りませんが、これをクロスオーバーカーとか言うジャンルで括っていますので・・それも又、嫌~な感じがします。
カテゴライズは企画をダメにしちゃう気がします。
商品が、適当なカテゴリーに逃げ込んでしまい、尖がった角を失って行くように感じるんです。
小生個人でも1ユーザーとしては、カテゴリーの概念は全く不要です。
多目的、大量積載、四輪駆動、高性能・・・で良いです。
マルチユースビークルとでも何とでも、それらしいキャッチなどつけて、他社を煙に巻いておいてください・・とか勝手に思ったりします・・。
ユーザーとしての自分は、買う前に広さや使い勝手、性能などしっかり検討しますから問題ないのです・・。
・・・きっと業界的には「落ち着きどころ」としても、なんかのグループ名が必要なのかもしれませんが・・。
そうそう、それから、収納に関しても、ルーフボックス無しでもスキーなどの長尺物や、かさばる物が積めるように、インテリアの天井側のルーフシェルフを作ることを真剣に考えて欲しいと前から思っていました。
なぜ何処さんからも出ないのでしょうか?・・・。
小生個人では相当ニーズがあるし、ルーフボックスを屋根に積むより安全で確実な収納なのに?天井を住宅の屋根裏収納のように「二重底にして大きな収納スペースにして欲しいのです。
たまにはスキーに行きますし・・・。
釣竿も長いですし・・。
ボディーを少々ハイルーフにしてもらって、その部分を収納として作りこんで、荷物の出し入れはワゴンのリアゲートを跳ね上げてそこからやる形でも結構なので・・。
いかがなものでしょうか・・。
ワゴン車には標準装備でも良いとさえ思います。
どうせルーフの長い、ライトバンの様な屋根なんですから、使わない手は無いと思うのですが・・。
それから、乗ってみて考えた事なのですが、4輪駆動の車の場合、メカで車が重くなって、また、そこそこのボディーサイズ(積載スペース)があると、総合して2000ccのエンジンでは、やや力不足と言うか、余裕と言う点でつらいのかなぁと感じました。
そこで3000ccをおごるとか、徹底した軽量化で前述の様なドライブシャフトをカーボンで行くとか、ルーフ部やボンネットをカーボンファイバーで作るとか・・そういうチャレンジングな提案や喜びがあっても、きっと車としては良いだろうなあと思っています。
もちろん売れ筋のゾーンでそう言う物づくりは危険でしょうが・・。
それでも小生は、そう言うボリュームのゾーンでさえ、この車は軽くしたかったから万難を排した・・みたいなフィロソフィーに触れたいと思います。
感動したいですね商品に・・。
各社が『きっちり競合する同じような車』ばかりでは、感動できませんし、もう、あてがい扶持の定番はうんざりですからね・・・。
しかし、考えてみれば、『きっちり競合できている事』自体も本当は相当な大問題ですよね・・・。
真似しているから競合するし、各社がそんなのばっかり出すから、カテゴリーが形成されるという見方もあるわけで・・・それはある意味でオリジナリティーの観点から言ったら、恥ですね・・・。
いっそ車の企画は一切他社を見ないで、お客さんの研究やプロファイリングだけで考えた方がよかったりするのでは・・・と思います。
たとえばホームセンターで、初老のご夫婦がグリーンの買い物・・・土や苗や肥料や・・・をしているのを拝見していると、軽のミニバン・ダブルキャブ・トラックが必要とも見えます。
運転しやすくアップライトでガラスが大きく、前後視界抜群。後席は普段は棚のある荷室。アレンジで最小限の後部座席になる。そしてさらにリアには、トラックの小さく・低い荷台がある。荷台には可愛いテント型のカバーも付いている。(幌があっても後部の視界は良好・・・。)この幌に工夫があると新しくなります・・・ヨーロッパの路上のカフェの張り出すテントなどの雰囲気はいかがでしょうか。ハンドルを回転すると出てくるあのテント・・・の雰囲気とか。
彼らの暮らしは・・・。
重い荷物が苦労の種。冬は灯油を買いに行く。普段は園芸の肥料や土・・・。時には日曜大工の板材など。ダブルキャブトラックは一年中買い物に便利・・・。何しろ荷物がつみやすい・・。
貴重品は後部座席をたたんだ荷室に・・・。
こんな風に競合しない感じの車では、やはり全然売れないですかねー・・・。
小生はこういう軽を結構良いなあ・・と、手前味噌には・・・・思いますが・・・。
企画のご担当の皆さん・・・命がけで冒険して、失敗したら左遷されてください。・・・なーんて。
でも、これあながち冗談ではなく、そう言う思い切りや元気が必要なのが、昨今の日本の物づくりと言う気がちょっと・・・いたします。
申し訳ありません・・・自分も出来ていませんが・・。
社内を見て、競合とカテゴリーを見て、相場価格を見て、商品仕様を決定し、ユーザーの真の使い勝手を追及した提案や、オリジナルな提案を行わない。・・と言う事は・・・何を目指してますのでしょうか?。
まるでガチガチに競合する事が目標で、それを目指しているみたいですね。
そうそう、なぜか各社様揃って・・・最近ライトが上を向いていると思います。
プロジェクターヘッドライトや反射板の革新?が背景でしょうか・・。
ガラスの造形に自由度が出来たのだと思いますが・・・。
前照灯じゃなく『上照灯』・・・。これは小生には凄く抵抗があります。
数年前、某社様のクロカン4WD車のデヴュー時にヘッドライトが、ボンネット側へ、ツリ目に上がっていたのが、最初にこの「上照灯」の違和感を感じたキッカケでした。
さらに、この車では、なんとメーカーが斡旋する社外品のアフターパーツのカタログに、この「ツリ目」部分をボディー同色にカバーしてツリ目を無くすパーツが載っていて、またビックリでした。
クロカンのアフターパーツ屋さんはクロカン好きの志向を分かっているなあ・・と思ったものです。
形は機能を示して欲しいです。
意味なくボンネット上面に回り込んだガラスは、何か嫌ですねー。
ガラスが上の方まで「ある」必要性を感じられれば、まだいいのですが、新しい形のためだけだと違和感もあるように思います。
各社さま、そう言うライトが多いのは、皆さんやはりデザイン的な新しさを採っているからなのでしょうか・・・。
小生は「ツリ目」や「悪顔」の車が、とっても『嫌い』であります。
今回も暴言・・ご寛容にお許しいただければと思います・・。
大変、大変、失礼致しました。