とうとう?・・・と言いますか・・・。
ギターのリペア・・・僕からしますと・・・ランタンの時と同様にギターのレストア
と言う気持ちでやっていますが・・・をやりました・・・。
あらあら・・・またですか?・・ですよね。
とうとう??ギターです・・・。
今回の獲物は?、フォークギターで、おそらく1967年製のYAMAHAの、
FG150という機種です。
※これは、リペアの終盤の写真です。まだピックガードが付いていません。ブリッジのピンは真鍮のエンドピンを刺して音質を確認中です。最終的には、プラスチックに戻しましたが・・・。
ヤマハにはプラスチックのエンドピンの方が合いました。真鍮はシャリシャリの音が強すぎました・・。
右の写真は・・サウンドホールの横に、ピックガード(オリジナル)が剥がれた後と、板の修復のパテが見えます・・。凸凹を直して綺麗に平らにしました。
このギターの当時のお値段は、(資料では、)16,000円(定価)です。
・・・この年の大卒初任給が26,200円ですので、相当お高いものだったんです・・・。
小生が12歳(小学校6年生から中学入学)の時のもので、
1967年の秋から1968年の春に掛けての時期に、購入してもらった筈です。
具体的には・・・67年秋の誕生日か、翌年春の中学の入学祝か・・何かの理由で・・・父に買ってもらったのです。
これは2台目の自分のギターだったのです。
(1台目は小学3年くらいの時に父にもらった[レコードの宣伝の看板に貼り付ける用の、装飾用の]ボロのクラシックギターでした・・家業は看板装飾業でした・・。)
父と銀座のYAMAHAに買いに行った・・・のを覚えております・・・。
うれしかったし、弾きやすいし、このギターを大変好きになり、愛用したものです。
でも中学の3年生くらい?の時に・・悲劇が起きました・・・。
音楽の授業で、音楽室にこのギターを持って行き、チョット目を放した隙に、誰かが倒したのか?踏んづけたのか?ヘッドとネックの境のくびれの辺り・・が折れていたのです・・・。
『ガーン!!』
※折れたヘッドとネックの境目あたりの写真です。自分の手で完全に折って修理するのですが・・・トホホでした・・・。木工ボンドのエース・・・『タイトボンド』で接着し、クリップで挟んで、逆さにして重石を載せて2時間くらい待つのです。接着して乾燥した後、サンドペーパーをかけて、木地をならして、ステインで着色し、クリアラッカーを塗装します。
ほとんど折れたところは分からなくなってますし、強度は抜群です。
大きなひびが入ってましたが、(糸巻き部のある)ヘッドは取れては・・・いなかったので・・・修理しなくても「使えることは使える」状態でしたが・・・。
当然?この悲劇の時、犯人は出てきませんでした・・・。
クラスメートの誰か・・である事は間違いありませんが・・・。
それから約40年・・・このギターを修理せずに折れたまま、「ひび」の入ったまま・・そのまま『だましだまし』使ってきました。
といっても実際、毎日のように良く弾いたのは、大学生くらい?までで、就職してからは、なかなか弾く機会が無く、年に数回弾く程度でしょうか・・・殆ど出番はなくなっていましたが・・・。
でも、なぜか捨てることも無く、この折れたギターをずっと愛用し、転勤などあっても持って歩いていました・・・。
で、40年たちました。
・・・最近プロ・ギタリストの友人ができ、触発され、このギターを見てもらったりしました。
このギターは、折れているのに『凄く鳴っている』と言う評価でした。
でも修理の場合は、修理代が5万円!!・・・くらいかかるそうで・・・・。
リペアの工房の方からは、よほど拘りのあるギターならともかく、中古で同じ機種を買ったほうが良いでしょう・・・。と言われました・・。
で、一応念のため、このギターの事を調べてみると、YAMAHAの赤ラベルのギターは、古くても・・古いからこそ?音が良いと定評らしく、プロのアーティストも結構探して使っている時代物のギターだそうです。
お値段も物によっては、プレミアが「やや」ついているギターなのだと分かりました。
※これが赤ラベルです・・・折れてなかったら、そこそこ価値ある品だそうです・・・。
でも嬉しいものです。
この時代のYAMAHAの赤ラベル・・・が「音質」で人気なんだそうですから・・。
(ラベルはギターの中に貼ってある名前の紙です・・・)
で、蛇足ながら、オールドのYAMAHAギターの中で、アーティストも使っている・・一番の人気機種は、FG180という機種だそうです。
小生のは残念ながら、その下の機種で、FG150です。
(ちなみにFG180の程度の良い中古は、6~7万円以上とか・・・するそうです・・・。で、FG150の場合は程度の良い物で3万前後だそうです。)
小生のFG150はヘッドが折れてますから、価値は無く、値段は付きませんから、まったくコノ話jとは関係ありませんが・・・。閑話休題・・・。
でも、でも、「音が良い」との定評は嬉しかったのです・・・。
自分でも中学時代からこっち、友達のギターと比較しても音が良いと感じていたし、一緒に弾いてもこのギターは音量がでかい・・と思っていましたのです・・・。
というような背景の下、小生は決心しました。
ヘッドの折損の修理、指板の調整、フレットの調整、全体の再塗装、ピックガードの作り直しと貼り直し・・・。を自分でやろうと決心したのです。
特にヘッド部を修理するために行う、一度ヘッドを完全に折る作業・・・は、ある晩、仕事のお付き合いで飲んで、多少酔っ払って会社に夜中に帰った時、このギターから・・・、「お前が自分で折れよ・・・」と言われたような気がしてやったのです・・・。
一度完全に折らないと、木工ボンドもつけられませんから仕方ないのです・・・。
ボキっとやりました。思い切って40年ぶりに・・・ボキっとね・・・。
アルコールが入っていなかったら、この作業は出来なかったかも?知れませんね・・・。
それからこの時代のヤマハのフォークギターのピックガードは写真のように曲がってしまうのでギターから剥がれてしまいます。で今回小生は曲がって反ったピックガードは使わずに他のベッコウ柄のシートから切り出して作りました。オリジナルより色が薄くなってしまいましたが、剥がれるより良いです。(かつてヤマハで2回くらい修理して、その度、剥がれていますし)
※左・・オリジナルのピックガードは曲がっていて使えません・・・。
※右・・で、こういう風に新しいシートから切り出して、ピックガードを作って使います。手に持っているのが反り返ってしまったオリジナルです。
※左・・これがベッコウ柄のシートです・・オリジナルもコノ袋に一緒に入れています・・。
右・・ブリッジピンをオリジナルの黒いプラスチック製に戻しています・・このギターではこれが正解のようです・・・。最近買ったハカランダ素材の古ーい・・モーリスのギターでは、真鍮のピンが正解でしたが・・。
それなりに、この修理では頑張りました・・・。
でも、実際はランタンのレストアや、スピーカー工作で、自分のノウハウが増えていて、このギターのリペアは意外にも・・結構、楽??だったのでした・・・。
知らないうちに工作が多少・・上手になっていたんですねぇ・・・。
木工ボンドや着色、ラッカー塗装、とか・・・得意領域ですね・・。
困ったもんだ・・・。
※これがネック部です。800番と1000番の耐水ペーパーを水なしで使って木目に沿って磨きます。そしてウッドオイル・・・ワトコオイルを綿棒の先にちょっとつけて塗ってすぐにティッシュでふき取ります。ワトコオイルはすぐにふき取らないと染み込み過ぎて、接着剤に良くないと思っています・・。で、フレットのすり合わせも板に紙鑢(400番くらい)を巻いてやります・・・。
本当に綺麗になります。
ギター全体も400番でサンディングをして、色々なパーツをはずし、ブリッジなどはマスキングして、ラッカーで再塗装しています。ギターは傷だらけですが、表面は綺麗になっています。
これでまた、何年も愛用することになるのです。
(ちなみに・・ハカランダ素材のモーリスW40は安かったのですが、相当痛んでおり、かつての水濡れが疑われる感じでした・・。で、ギターのサイドやバックが表面が剥離するような感じで、カサカサとひび割れを起こしそうで、「ラッカーを塗ってくれ!!」と塗装を要求している感じがしました・・。で、ラッカー系のクリアの塗料をしっかり染み込ませるように・・筆塗りしました。ナットも位置を直そうとしていじったら、ちょっと角が欠けてしまったので、音が良くなると言う人工の象牙[TUSQ]のものに変更してみました。・・で、これが、なかなか音が良いようなのでブリッジのサドルもこのTUSQで合わせて作りました。また、フレットの指板も、かつての水濡れがあったっぽい?感じで、フレットのポジションマークのインレイも数箇所浮いていましたので、浮いているものは思い切って剥がして、ボンドで貼り戻し、指板を例によって800番以上でサンディングし、ワトコオイルを薄く塗布、フレットはすり合わせをして、エンドピンは真鍮製に変更・・・。要するにフルメンテナンス状態でしょうか・・・。でも古いものが蘇っています。これも、ヤマハとは違う傾向ですが、凄く良い音です。シャリーンって鳴るんです。ギターって良いものですねえ・・)