手作りスピーカーとしては、長岡先生の設計のバックロードホーン・スピーカーを自分のアレンジ版なども含めて、何台か作ってきましたが・・・・、この何台ものスピーカーの自作・工作、手作りを通じまして・・・。
『なんで自分はバックロードが好きなのか?』
『拙宅に遊びに来られた方々が、なぜ・・かなり?褒めてくれたのか?』
を考えてみました。
そして突き詰めてみると、それは、実はとってもシンプルな事が要因だぞ・・・と思うに至っ
たのです。
バックロードに入っているユニットが、
『高品質な小口径のフルレンジだから・・・』・・・が小生の仮説・・結論?!?!なのでした。
※フルレンジスピーカーとは、一個で低音から高音までフルの帯域(レンジ)を再生するように作られたスピーカーのことです。(つまり全帯域・・・でフルレンジです)
つまり、
小さなフルレンジスピーカーだから・・お褒めいただけた・・・と思うのです。
それは、・・・おそらく、
ネットワーク回路が不要で、アンプ直結なので信号系がシンプルで・・・。もちろん、回路に
使うコイルや抵抗やコンデンサーが入っていないから、位相のズレ?位相の回転?(聞きかじりの技術用語です)・・などが起きなくて済み・・・結果として音が汚れず、「生き生きとしている!!」・・・と言う評価になるのだと思います。・・これは基本的に長岡先生のお話しの受け売りの理屈です。
フルレンジの音が、素直で、真っ直ぐで、繊細だから褒めてもらえるんだ・・・と思います。
この繊細さは、振動系の質量の小ささ!!からきていると思います・・・。
小口径だから、振動板などが小さく軽くできますから、小音量時や高速の音楽信号にも敏
感に反応が可能ですので、小さな音や細かい情報が良く再生されていると思います・・・。
まったく逆の、重たい大きな40cmなどの直径のスピーカーは、コーン紙も大きくて、一度動いたら中々止まれませんし、止まっても逆方向に動き出すのはかなり大変でしょう。
大きな船は中々止まれませんし、ましてや止まってバックするのは大変です・・・。
小口径のスピーカーは止まってから後、簡単に逆に動き出せるのだと思います・・。
・・んだから・・・、情報量は小口径の方が多いのでは??と思います。
ここでハタと気づくのはこれらの「良い」は、小口径フルレンジの良さであって、好きなバック
ロードはどこに行ったのか?・・・ですね。
そうなんです。
バックロードホーンは小口径のフルレンジで不足する低音をカバーしますし、超ハイパワー
・オーバーダンピングのフルレンジユニットと協力して、広帯域で・高速な反応の再生を
手助けしている!!と思います。・・・が箱はやはり・・・『従』ではないでしょうか・・・。
『主』は小口径フルレンジだと思うのです。
しかし、しかし・・・・。バックロードホーンと言う方式の『箱』は、相当個性的で、魅力的で、ま
るで「主役風」にも感じられます・・・。面白いものです。
・・・・・と、このように、小口径フルレンジとバックロードの良さをあれこれと申しましても、
音はそれぞれの方の「お好み」ですから~本当に難しいです・・・。
小生は、再生帯域内の特定周波数のピークとかディップとか(凸凹)などを聞き分けられる耳を持っていませんし、気になりません。
知らず知らずのうちに、全体の反応・情報量・スピード感などを重視しています。
ですので、バックロードは好きなのです・・・。
しかし、特定の周波数の凸凹や粒立ち・音色?などを聞き分ける方・・・精密に聞く方・・・に
とってはバックロードは苦痛・・・聞くに耐えないボロい!!スピーカー・・・だと思います。
精密な音色重視・帯域のバランス重視のタイプの方は、マルチウエイ・・・・低音から高音ま
でスピーカーを4個・5個で鳴らす・・・とかの方・・が良いと思います。
高音から低音までが「セーの!」で同じタイミングで鳴ると心地よい・・・という位相の問題が気になり・・・かつスピード・情報量を重視する方は(小生のタイプです・・・)バックロードが良いと思います。
軽い振動板の早い反応と、ネットワークの無い事から来る位相の整合等がもたらす膨大な情報量!!聞こえなかった音が聞こえ、プロのディレクターさんが、「えー?ここは、音を重ねてたんだー」等とおっしゃる「聞こえ」・・・はバックロードホーンの得意技ですね・・・。
好みに合う方にとっては人生の友・・・。
友人が一昨日、新スピーカー(10cmのD-118改)の試聴にこられて、愛聴盤を聞いて涙していました・・・。
『このスピーカーだめだ・・・やばい・・・来るわ・・・』・・・と・・・。
写真は10cm口径のFOSTEX FE108ES2 小口径フルレンジ・・・。
彼はプロのギタリストなんです。
耳は良い人ですが、どちらかと言うと音楽性を重視するタイプと思います。
・・・こういう方にはフルレンジは向いていますね・・。
こういうシンプルなスピーカーを鳴らして、心底、感動できると、まるで目の前にアーティストがいるように感じる分、・・・CDと言うパッケージソフトは、本当に「安い」と感じられますよ・・・。
彼ら試聴された方の言葉です。
こういう賛意はバックロードだから・・・と言うより、何も足さない何も引かない純粋な・・・強力な・・・良くできた超強力な小口径フルレンジを楽しく聞くから・・・が主眼で、バックロードは超強力小口径フルレンジをより良く味わうための箱・・・なんだと思います。
この方式のスピーカーはインパクトがあるし、ホーンにも効果があって、結構感動したりするから「バックロード」って形式が一人歩き??しちゃいましたが・・・本当はそう言う・・・フルレンジの話し・・・が正しい気がします。
いかがでございましょうか・・・。
オーディオの原点とも言われておりますが?
小口径フルレンジ・スピーカーが大好きだぞ・・・のお話しでございました・・・。
「07年8月21日・・修正・加筆しました」