「手作りスピーカー しょの4」
とうとう?あらあら?手作りシリーズ第4弾?『しょの4』です。
これまた期待は・・・明らかに・・されていない!!ですよねー・・。
大変申し訳ございません。
ご興味ない方・・・今回も無視してください。恐縮でございます。
今回はスピーカーの手作り「偏」の4回目であります。
前回までに、
①D-101S(スーパースワン)から
④D-99(エイトマン・・8cm、FE88ES用 ブックシェルフ型)まで書きました。
で今回は、
⑤D-99ES-R(FE88ES-R用 ブックシェルフ型)小生の図面あり・・・の話を書きますです。
そもそも、D-99ES-Rなんて長岡先生のスピーカーの品番は存在しません。
小生が長岡先生のご逝去後に発売になったFOSTEXさんの新ユニット、FE88ES-Rで、先生のD-99エイトマンを下敷きに、適宜変更を加えて書いた図面で制作したものを、便宜上、勝手にこう言う呼び方をさせて頂いているだけなのです。
大変申し訳ございません。
この型番には、Dもつけていますので、甚だ勝手に詐称しているようで、まことに申し訳ない思いで、恐縮の限りです。
しかし、もともと先生のD-99に基づいて、新ユニットFE88ES-R・・向けに諸般、計算を繰り返し、何回か手直しをして完成したもので、小生のオリジナルではないのです。しかし、板取りなど、多少の工夫も盛り込んでありますし、寸法に至っては一回りも大きくなっていますので、微妙ですが・・・、図面はお見せして良いのではと判断しています。
で、恐れながら、敢えてエイトマンの名前を踏襲してD-99ES-Rなどと言っています。(長岡先生のファンの皆様お許し頂ければと思います。)
設計内容については、実際の制作の結果も踏まえて何度か修正してありますので、さらに今後も検証は続けたいものの、この図面通りですと結果は、まずまず良いのでは?と思っています。(多少の自画自賛は入っております・・・念のため)
それでは、
口径8.5cmの大好きなユニットを使用した、D-99ES-Rです。
ブックシェルフ型バックロードホーン、D-99の派生ですので、(エイトマン“R”)でしょうか。
このユニットは何と言っても40khz(キロヘルツ)まで延びた高域のさわやかさに特徴ありです。本当にトゥイーター不要です。
このことの意味の大きさが分かる方には分かっていただけます・・・。好結果を期待できます。では、、、
1.設計変更の留意点・・
一応、小生の計算の内容をお話ししておきますと、スピーカーの直径(=口径)の大型化8cm~8.5cmに・・に伴い、エンクロージャーの少々の大型化を考えました。
まずスピーカーの後ろの部屋の大きさ・・・→空気室の容積をD-99の1200ccから1400ccに増やしています。
初期のこのモデルの制作においては1600cc程度でしたが、低音時のユニットのバタつきを抑える意味で、非常に感覚的な事を頼りにした変更で恐縮なのですが、実験の結果、縮小の方が良いと感じましたので、狭めて図面を書き直しました。さらに実験するとしたら1300ccくらいがどうか?が気になりますです・・・。
(さらに体積を狭める時はウッドブロックにフエルトをまいたもの等を、空気室に放り込めば完了で、簡単です。体積を増やすのは容易ではないですが、縮小するのは粘土の塊など、何か物を入れるだけでも出来ますから・・・それで大き目の提案が安全と言うことになります。)
ちなみにFOSTEXさんのこのユニットの説明書にある、バックロードの設計例では1200ccで従来のD-99と同じでした。
しかし、ユニットが異なる8cmのFE88ESと、8.5cmのFE88ESRが同じ空気室容量と言うのはかなり抵抗がありました。
D-99では1200ccで良い結果でしたが、8.5cmのこの新ユニットでは少し大きい方が良いのではと思っています。
次に難しいのはスロートの絞り方です。
スピーカーの振動板面積の何%にスロートを絞るか?が大変重要なのですが、小生は当面の設計で84.7%くらいにしています。
どうもこの位が良いのでは?と言う事で採用した数字なのですが、このユニットは意外にもQ0(キューゼロ)が大きく噂に聴くよりは、超強力ではない特性で、バスレフ方式でも使えるくらいなので、スロートは70%位の絞り方でも、低音でユニットのコーン紙が暴れずに済んで、かえって良い結果なのかも知れません。小生の手持ちのスピーカーで、同じユニットを使ったトールボーイ型のバックロードホーンスピーカーの実験では、スロート面積26.4平方センチまで絞りましたが、結果は良好に感じました・・・。
ちなみに上記FOSTEXの事例と、この設計の比較で面積換算しますと、絞り率の差は、3.2%でした。
FOSTEX版の設計が12cm幅のホーンで高さが2.5cmのスロートで、30平方センチです。これは81.5%くらいの絞り方です。
(当方は8cm幅で、高さ3.9cmのスロートであり、31.2平方センチです。この時の絞り率は、前出の84.7%になります。)
今後の実験ではスロートをさらに絞って8cm幅で高さ3.5cmに変更し、スロート面積28平方センチ、絞り率76.0%位が相当宜しいのでは・・・と考えております。
●このスロートの再縮小版の図面も、書いてありますので、おってこちら(スロート8cm幅で高さ3.5cmの図面)も時間を見て、このブログの下の方にアップしておきます。もし作られますなら、こちらの図面がより良いのでは・・と思います。お勧めいたします。
空気室とスロートが決まれば、後はホーンのカットオフ周波数を24ヘルツに設定して、計算したとおりのホーンを、箱の中に組み込んでいきます。(修正前のカットオフ周波数は28ヘルツを表から選択していました。しかし、この修正の結果で、実際の音道の変化は?・・殆どありませんでした・・・)
スロートから何センチ進んだら、スロートのホーン断面積の何倍・・・1.3倍とか・・になるかを計算していきます。(早見表があるのです)
工夫したのは前から後ろへの折り返し部分で、後ろ側で断面調整の板を2枚使って受けています。スムーズに音道が広がるようにするためには、この2枚の板が結構・・重要だと思います。このパーツの導入で組み立ては難しくはなりませんが、従来のこの種の設計には無いパーツですので、組み立て取り付け順(段取り)には注意が要ります。
順番を間違いますと、取り付けが大変(不可能か、ネジを斜めに打つ必要がでる)になります・・。
そして、その他の大きな留意点としては、ホーンの開口部のサイズ・形状を正方形で確保した事です。
ブックシェルフでしっかり低音を出すのは、ホーン開口部:ここの形状と補強が重要と感じております。
図面をご覧下さい。
組み立て写真は設計の修正前のものですから、空気室のスロート部のパーツや途中の音道の作りなどが少々異なります。
しかし、もし制作をされる場合は、修正版の最新の図面でお作りになるほうがよろしいと思います。
2.板材の手配
板は15mm厚と21mm厚のシナベニヤを東急ハンズさんの渋谷店で購入し、カットを依頼しました。(小生の実際に作ったものは、①のパーツや天地、左右などの部分に21mm厚のシナベニヤをおごり、補強強化したものでした。・・図面ではすべて15mm厚になっています)
渋谷のハンズさんでは、丸い穴も四角い穴も開けてくれますので、送って頂いたら後は組み立てるのみです。少々加工賃が掛かりますが、これは楽ですね。加工の精度も結構良いとおもいますし・・・。
3.パーツ確認と下準備
パーツをそろえて過不足を確認し、組み立ての開始です。
まずは、寸法の確認からです。
音道構成パーツは前面側はすべて幅80mmで、後ろ側は120mmです。
平らな板の上で80mm同士、120mm同士のすべてのパーツを背比べするようにきっちりくっつけて揃えて見ると、狂いがある物が出っ張ったりします。この段階で出っ張るパーツにカンナを掛けたり、ヤスリで削ったりして綺麗に均しておきます。これはコツです。後々の組み立てが楽になるので是非やっておきたいものです。
事前の準備としては、さらにフロントバッフル板に、裏側からスピーカーの取り付け用の爪つきナットを打ち込んで、つけておきます。
爪つきナットの打ち込みと、取り付け穴周囲の角を削った写真・・音の流れをスムーズにする
この程度の小型のスピーカーユニットでは取り付けるネジは4mmを使います。従って爪つきナットも4mm径用です。(爪つきナットは8個入って100円くらいです。)
取り付けは、この爪つきナットの外形が5.5mmくらいですから、ドリルの穴は5.5mmの穴となります。穴の位置は図面的にも割り出しますが、早いのは現物での確認です。
穴の中心を出すためには、穴を開ける時に切り離した丸い不要な部分を穴の中心に入れて、中心からネジまでの距離をコンパスで墨付けしてから、丸い部分を外し、穴にユニットを置いて、ユニットの取り付け用の穴にコンパスの線が見える範囲で、キリでチョットだけ穴を開けると安心です。このキリの穴があると、ドリルでの穴あけの時、刃が落ち着きやすく、真っ直ぐ穴を開けられます。(ハンズさんからは、この穴の内部の丸い板も送られてきます・・ご安心を)
・・・この墨付けと現物あわせの併用をやりますと、ユニットがバッフルの穴に対して偏ってしまいませんし、寸法のミスについても、現物での確認をするわけですから・・当然防げます・・。
爪つきナットを打ち込みますと、実際はユニットの丸い開口の内側の部分に、ナットの一部(金属の針部分)が少々が出っ張る筈です。
これはナットを打ち込んだ後で、金属用のヤスリで削ります。1000円くらいと少々お高いですが、ステンレス用の片側が「かまぼこ状」になっている「半丸」で、半分が「平面」のヤスリがお勧めです。
小生の経験では、ステンレス用でないと、ヤスリが弱いのか?なかなか削れなかったりしました・・。
4.組み立て・・音道
前後を分ける①のパーツが要です。このパーツの上に音道を構成をするパーツ②~⑬を並べて、こんな感じに取り付けるのだな・・と、あたりをつけます。
(左)鉛筆の線が見えます。並べて確認し、速乾ボンドで接着、落ち着いたら裏返して木ネジで!
①の板には図面どおりの寸法でパーツの来る位置に鉛筆でラインを入れておきます。
そうしましたら、いよいよパーツに木工ボンド(この場合「速乾」タイプを使います)を付けて、図面通りに板に描いた線に合わせて貼り付けます。
体重をかけ3分~くらい押し付けていますと、木工ボンドも落ち着きまして、一瞬板を裏返す間くらいは剥がれず、ズレず、にいてくれます。
このズレない程度の状態が重要です。
そこで裏返して、裏からドリルでネジ用の下穴を開け、ネジの頭が出っ張らずに入り込むようなザクリもやってから、コースレッドと言う細身の木ネジを打ちます。(裏からもパーツの位置のネジを打つラインは事前に引いておきます)
ネジの間隔は適当です。
狭くて5cmから、広くて10cmくらいでネジを打ちます。
小生の場合、組み立てには釘は使いません。
コースレッド(木ネジ)は下穴など面倒ですが、強力に締め付けられますから強度抜群になるのです。
もっとも面倒がって直径2.5mmの下穴をきちんと開けませんと、板が割れる事がありますから、工作は少々面倒になりますが・・・。
ドリル径は2.5mmを使い、ネジ頭用のザクリはそれに向く専用のキリを使います。
コースレッドは32mmを主に使っています。
木ネジの頭が出ない様に円錐型に削る刃(ドイトさんで見つけて愛用) 右は普通の2.5mmのドリル
このやり方での、作業効率アップのために、小生は組み立て用に、ドライバー・ドリルを3台同時に使います。
下穴あけ用、ザクリ用、とネジを締めるドライバーの3台の使い分けをするのです。
3台使うと刃やドライバーを、その都度、付け替える時間と手間が短縮でき、早いのです。
最近はAC(家庭電源)の電動ドライバー・ドリルもオークションで1500円くらいですし、充電型のものでも3000円くらいで結構良いのがあるので、3台使っています。
パーツ③~⑥は事前にボンドでくっつけておき、それを②に付け、さらに②に⑦を付けておきます。⑩~⑬も先にボンドで箱状に作っておきます。この時、平らな板の上で組み立てるとL字型の部位や、箱状の部分がネジレ無いで組み立てられ、うまく行きます。
このボンド、裏返しネジ止め・・作業の繰り返しで、前面側の音道は完成します。
表側の音道完成・・コードも通してあります(チョット短くて失敗ですね)
裏面側も基本的に同様ですが、板の貼りあわせがあります。
まず、⑮の上にボンドで⑭を貼っておきます。(しっかり重量を掛け、ズレ無い様に・・コースレッドの25mmを1~2本打っても良いです・・)
それから⑯に⑭と⑮貼り合せたものをつけます。これはボンドとコースレッド32mmの併用でつけます。
その後⑭と⑮のついた⑯にたいして、⑰と⑱をボンドとコースレッド25mmで貼り合わせの要領でつけていきます。
裏側の音道完成・・・結構複雑になっています
このパーツは左右がありますので、同じ作り方で2個作らないようにしませんと、1個が取り付けられなくなります。
左右対称は意外と注意が必要で、やり直しが続発する部分なのです。
一般に板の貼りあわせは、ズレたら困るので、まずボンドを付けずに板同士をきっちり合わせ、下穴をだけ穴あけします。ドリルの刃は板2枚を貫通しない程度に、ドリルからの刃の出方を30mm以下に調節します。
4箇所くらい穴あけしてからボンド付けし、貼りあわせ、ボンドが落ち着いたら、ネジが貫通して飛び出ないようにやや短い25mmの長さのコースレッドで締め付けます。
こうして貼りあわせは「穴が先」「・・それからボンドで接着」「コースレッドを締める」とやると、ズレにくく、うまく行きます。
もちろん穴あけした時の通りに貼り合わせませんと、穴がずれ意味がなくなります。
ボンド付けのとき、部品の裏返しをしないように、貼り合わせる面が分かるマークをしておきます。
裏面のパーツもこれで①に着けられ、音道の概要が完成します。
そうしましたら、後は組み立て順どおりに、その他のパーツを取り付けていきます。
5.組み立て・・・配線
前面のバッフル板と後面の板を取り付ける前に、スピーカーのコードを通し、端子を装着する準備をしませんと、後からでは取り付け不可能になりますので、段取りを忘れないように、あせらずじっくりやる必要があります。
コードの長さも重要なポイントです。十分な余裕を見て、後ろの端子の穴から出る部分が
30cm以上とたっぷりにしておきます。
前のバッフル板からも40cm以上の余裕を見ます。長い分には後で切れますから・・・。
特に前面はコードの長さに余裕があると、スピーカーユニットの取り付け、半田付けなどの時に、スピーカーユニットを箱(エンクロージャー)の上に乗せて作業が出来ます。
この余裕が45cmくらいなのです。
本体25cm、後ろ30cm、前45cmでで、トータル100cmです。意外に長いですね。余り過ぎたら、後で切ってください。
①に直径4mmくらいのコードの通る穴を2箇所あけ、スピーカーのコードのプラスとマイナスを通しエポキシ系ボンドで穴をふさぎます。
想定するコードの接着位置にマジックなどで印をしてからコードを板の厚み分の15mm程、引き出して、その出した部分の周囲全体にボンドを塗り、印までコードを戻すと、穴の中までボンドが行き渡ります。
コードを回転させて、ボンドを馴染ませるのも良いと思います
なぜエポキシボンドかと言いますと、穴の奥まで固めるためなのです。
溶剤系で乾燥させるタイプのボンドを使用すると、空気の入らない奥の方が固まらず液状のままになってしまうのです。
その点、エポキシ系のボンドはA・B、2液の反応で固まるタイプであり、空気・乾燥を必要としないので、穴の中の奥でもきちんと固まるのです。
配線後に後面の板をつけるとき、事前に端子用の穴・・大体10mmの穴を二つ・・開けておきます。そして後面の板にはコースレッドを締めるための穴を開ける位置に、鉛筆で線を入れておきます。
この状態で本体側に木工ボンド(速乾ではない普通の)をつけて、後面の板の端子の穴にコード2本を通し、先を軽く結んで!!抜けないようにし、接着します。
6.組み立て・・・後面とバッフル~開口部の三角材
後面の板がズレが無いように角を決め、コースレッドをまず四隅に打ちます。
ボンドが落ち着いてきたら、5cmおきくらいにドンドン下穴をあけ、ザクリ、コースレッドをねじ込みます。
はみ出た木工ボンドは水溶性ですから、ぬれ雑巾でマメにドンドンふき取っておきます。
開口部の後ろ半分の部分に(24)をつけておきます。(24)の上には三角材がきます。
三角材は一辺が8cmくらいの角材を斜めに半分に切ったものを使います。
三角材は開口部へ低音を押し出すために大変有効なパーツのようです。
茶色く見えるのが一辺8cmくらいの角材から切り出した三角材
長岡先生の設計では使われておりませんが、準備される事をお薦めします。
小生は1辺が8cmくらいの角材を手のこで(のこぎりで)斜めに裂いて使っています。これは「のこぎり」の縦刃(たてば)で無いと、うまく切れませんので、両刃の「のこぎり」がぜひ必要です。
これを鋸で切るのはかなり難しいですがホームセンターなどでは斜めのカットはやってくれませんので、練習してコツを体得してからやる以外に方法は無いようです。
音道の途中には高音吸収用のフエルトを貼る・・・という工程もあります。
①の前後の音道を連絡する穴、95mm×90mmの部分の下に、薄い1~2mm厚くらいのフエルトを木工ボンドで貼っておきます。
そして、最後に前面バッフルの装着で、組み立て終了です。
本体側の板に木工ボンドを付け前面バッフル板を貼ります。この時、コースレッドを使う方法と、仕上げを気にしてボンドのみで行う場合があります。
ボンドのみでの固定には、ハタ金という本体を挟んで締めつけておく工具が6本とか8本とか必要になります。(1本1,500円くらいしますので、あまり使わない方にはもったいない工具ですが)
表に傷が入らないように、捨てるベニアの切れ端などを挟んで締めます。ガチガチ!!
ハタ金を使わずコースレッドで組む場合は、ネジの頭をパテなどで隠す工程が必要になります。
その場合は、ネジの頭を隠したパテ跡が目立ちますから、木目を活かした自然な塗装・・生地仕上げ・・・などは出来なくなりますので、黒など不透明の濃色のペイント仕上げが通常になります。
小生も黒で仕上げるならネジを打ちますし、木目で行くならボンド・ハタ金です。
7.仕上げなど・・。
これで組み立ては完了ですが、塗装など、仕上げが待っています。
仕上げは個々の趣味ですが、小生はこのスピーカーでは、前面バッフルをボンドで取り付けて木目を活かす作りとしましたので、「メープル」カラーの油性オイルステインで全体を塗りました。
ところが、実際は、不幸にもシナベニヤが、表面に部分的に油分を含んでおり、オイルステインを塗ってもこれを弾いてしまい、大きなムラ染めが発生し、何度やってもダメでした。
で、結局この塗装の修復が不能と諦め、本物のメープルの「つき板」を購入し、熱で貼る(アイロンで貼っていく、熱で解けるボンドがついていました)事になりました。
これは難しい作業で、時間を要しました・・・。やり直しが何回も必要で・・・。
つき板を貼る前に、ムラになった濃い目の塗装です・・やり直し前の状態です。
長岡先生オリジナルのD-99(黒色)とのサイズの比較が出来ます。
一回り大きくなっています・・。[台はD-99用の(赤)にとりあえず載せています。]
この「つき板」は正面、天板、左右、の4面仕上げにしました。
それから、やっとメープルのつき板に対してオイルステイン塗装の再登場です。
今度はちゃんと綺麗に染まりました。
ステイン塗装は刷毛で塗ったら、すぐにボロ布でふき取り、ムラにしない・・という塗装方法です。
ステインの乾燥後、その上から透明の2液性ウレタン塗料のクリアをガン吹き塗装をしました。3回重ねて吹いて、コンパウンドで磨いて仕上げます。
コンパウンドは自動車補修用の中目~細目くらいを使用しています。
磨くとピカピカ・艶々です。
このクリアもそうですが、ウレタン塗料はいつも「おもしろ塗装工房」さんで通販で買っています。
http://www.tosou-ya.comをご覧ください。
2液性のウレタン塗装は、高級家具の様なフィニッシュになります。
完成するととても綺麗です。
8.完成
いよいよ・・・試聴です。
左上がBS-28改、左下がD-99ES-R、右がD-37ES・MAKIZOU版です。
こうして見ますと、スピーカーが多すぎです・・・。
かなり期待通りの音がしました。
まっすぐで繊細。
ハイスピードで音が飛んできます。
エージングもしていないのに、のっけから凄く良い音なのはD-99の時と同じです。
8.5cmとは思えない低音の豊かさに、最高40khzまでの高音の抜け。
スッキリしています。
D-99を上下に周波数を拡大した・・・性能と言う感じです。
リー・リトナーのエレガットの抜けも最高に気持ちが良いです。
女性ボーカルも申し分ありません。エラ・フィッツジェラルドさんのマックザナイフが生き生きしています。
コントラバスの低音も問題なしです。チェコフィルの2人のデュオ・ディ・バッソのチェロとコントラバスが、とんでもない凄い音になって飛んできます。
一方、弱点も露見しました。
大音量時に低音のパルス的な短い音、バスドラムとか・・・、これがモコモコ、ボコボコします。
ユニットのコーン紙が大きく前後に動いていますが、さすがに8.5cmの限界があるのでしょうね。潰れた低音と言う感じになります。低音のパルス・・には弱い様です。
もっと頑張るなら、もう100cc程、木のかたまり等の何かを入れて、空気室を小さくしてみたり、スロートに薄いベニヤを貼って2mmくらい絞ってみたり・・・という実験もして見たくなります。
しかし・・音が良いので欲が出ますが、大音量時の限界はありますですね。
優秀でも口径8.5cmは8.5cmと言うことでしょうか・・。
このスピーカー(初期設計版・・)には、少々後日談があります。
これを聴きに来た友人が、僕も作ると言い出したのです。
彼は昔、小生のスーパースワンを聴きに来て、これに感動し、初心者ながら制作にチャレンジして、1年がかりでものにした・・ツワモノ・・・でクラシック好きなのですが・・・。
今回も「気に入ってしまった。どうしても作る」・・となったのです。
彼は図面を持ち帰り、勇敢にチャレンジし、これを作っているようです。
さらに、彼の義理のお兄さんまでが、同じモノを作られたとの事です。
義兄さんも音質の良さに相当驚かれ、ご友人を招いては口径8.5cmとは思えぬ低音をお見舞いし、カルチャーショックを与えているそうです。
ともあれ、とても満足され、大変気に入っておられるとの事で、小生も嬉しくてたまらないお話しでした。
それから、図面にもありますが、この茶色の台は相当苦労して作っています。
柱の部分の中に乾燥させた砂を充填しているのはD-99と同じです。
根気と根性だけは必要な台ですねー、これは。
で結局、この小生のACEスピーカーのD-99ES-Rが今どうしているか?ですが、これは非常に気に入り、仕上げにも相当拘ったものでしたが、お世話になっている方のお宅にお譲りいたしました。
今までの全部がそうですが、良いものだと思ったからこそ、お知り合いの方にお譲りしています。
このES-Rは大田区方面で活躍中です。オペラなどのソフトの再生に大忙しと聴いています。
で、小生は次の興味へ・・・。
設計の変更や仮説の検証がしたくなって、次を作るのです。
次回はまた、小生が大変気に入った、この同じユニットを使用します。
FE88ES-R用のスリムなトールボーイバックロードです。
これは最近作ったばかりの機種です。
これも完全に自分の書いた図面ですから、皆さんに公開出来ますので・・・。
出来れば多少ご期待いただけると、やる気が出るのですが・・・。
※このバックロードホーン形式のスピーカーは、好き嫌いがはっきり出るスピーカーのようで、全くダメで、嫌いと言う方もいらっしゃると聴いております。
耳が良くて、周波数が分かるようなタイプの方にとっては、低音の特定周波数のピークとディップ(特性の凸凹です)が耐え難くて聴いていられない・・・とか、中・高音が雑で・ラフで、うるさくて聞けた物ではない・・・という方もいらっしゃるようです。
有名なスーパースワンでさえも、お作りになってすぐ後、聞けた物ではないので、捨てた・・と言う方もいらっしゃるそうですので、この自作スピーカーについての内容は、あくまで小生の感覚・自分の好みでございまして、客観的な比較や性能の説明とは申せませんので、その点、一ユーザーまたは小生が譲った友人の方の主観といたしまして、悪しからず、お許し頂ければと思います・・・。