開発に始めて従事した頃、『開発を進めるにはある程度「思い込み」とか「信念」とかいうような強い気持ちが必要だ』と先輩から教えられました。これは、コンテンツの開発でも、新規事業の開発でも同じだと思います。
企画段階で調査をしたりして企画を練り込んで行っても、「きっとこうだ」と信じられるレベルに仕上げて行くのは、なかなか難しい事だろうと思っています。
また、考えが出来上がっても、それを信じて、ブレずに実務を進行する事は、同様に難しいのかも知れません。
「強い気持ち」や「夢」を作るのも難しいですが、それを維持して活動する事も本当に難しい。しかし、このことが小生にとっては、開発をうまく運ぶポイントだったと思います。・・・難しくともぜひ必要だと・・・。
小生も若い頃、企画開発の途中で、なぜか懐疑的になってしまったり、どうもやる気が減退?してしまったり、なにかスッキリと思い込めない時がありました。「乗らない」とでも言うのでしょうか・・・。仲間の開発担当が不安に負けているような姿?もいっぱい見てきました。
この、やる気ダウンの原因は自分なりにも良くは分析できていませんが、小生も含めて、リスクがあって、難しい新規企画を進めるに際しては、損をしないか?とか、在庫の山に?・・・とか、様々なプレッシャーや大きな不安にぶつかるからだ!?・・・とも思います。しかし、結局は良い目標感を持てていなかったから?なのではないかと思います。
こう言う不安を乗り越えるためには、一種の自己暗示のような思い込みとでも言うのでしょうか?自分を元気付けていくような、そう言う行動?活動?が開発マンには必要だと思っています。
自分をうまく「ドライブする」とでも言うのでしょうか・・・。
現実には、課題解決を休まず考えて、これも潰せた、この問題も大丈夫だと、不安要素をつぶして行って、どんどんアイデアを練り込み、追加し、良いイメージを膨らませ、実現できそうなイメージに育てて行くような作業をするのだと思います。
例えば以下のようにどんどんイメージを良くしていく作業でしょうか。
どうやるかと言われましたら、このような正攻法を踏んでいくと言う答えになるとは思うのですが、実際は開発マンそれぞれに微妙に異なるのかもしれません。
小生の場合、結局、自分の力になるのは『お客様の喜ぶ顔』のイメージだったり、『買った方が使っている様』を思い浮かべたり、『販売店でのお客様に受けている反応』のイメージだったり、いずれにしても『ビジュアル的なイメージ』が自分を勇気付けてくれるような気がしております。
何を夢にすると自分が頑張れるのか・・・。開発マン自身、それぞれに自分にあった「踏ん張れるイメージ」の作り方を探す必要があるのかもしれませんね。
小生は、こう言う一連の思考をする力を勝手に『イメージングパワー』だよね!とか呼んでおります・・・。
勝手な命名でお恥ずかしい限りですが、開発においては頑張る・頑張れる、良いイメージをどんどん作って固めて行く作業が、自分のためにも、チームのためにもどうしても必要だと思ったので、こんな言い方をしておりました・・・。
『イメージングパワー』・・・。
この感覚は少々『夢を見る』感じに近いとも思います。小生の場合は上手く行った後の映像?をイメージしていますがいかがでしょうか・・・。
さて、そして、次の段階でそこに至るまでの過程をイメージします。
最終の上手く行っている姿を考えて、そうなるために今後やるべき事をリストにして、それをスケジュールにしてみる感じでしょうか。
そして、例えば・・・。本当はこの時期・段階で、こうであるべきだけど、まだ今はこ
れとこれ・・ができていない。と言うように本来のその時点での望ましい姿との差分、「差」を考えて、やれていない事をコツコツやって行くのです。
デザインだったり、流通への事前ヒアリングだったり、営業だったり、上手く行くために最善の流れを書いて、その現実との差を自覚してみると・・・やっていない事の大きさに愕然としたりしました。
全体を描けると少々安心できますし、精神衛生にも良いですし、計画的な仕事になるようにも感じます。
夢と現実の差分を埋めること・・・これは「開発」の・・・と言うより、大げさですが全ての「仕事」の本質かもしれませんですね。
小生の場合、夢を数字にだけ置き換えると頑張れませんでした。○×億円・・・。これはプレッシャーでしたが、「夢」にはなり得ませんでした。
だから、読み替えていました。結果的に会社の目標である○×億円になるような、「ビジュアルな夢」・「状況」に、置き換えていたのです。
こう言う状況なら、きっとこの数字は行く・・・と。
まだ○○万台と言う目標の方が、イメージしやすくて良かったのですが、それでもそのまま「夢」とするにはやや厳しく、やはりお客さんの笑顔や、こう使って下さっている・・・と言ったイメージの方が、企画段階では宜しかったように思います。
開発進行中は、上手く行った場合、想定顧客の何%くらいが良いと思ってくれそうか?その方々のうち何%くらいが実際に行動を起こして利用してくれそうか?などと積み上げていました。
なかなか数字は読めませんでした。
特にエンタテインメントの場合、必需要素は無いので面白いかどうか?が勝負ですから、読みはなかなか当たりません。
しかし、最低はこの程度・・・と当たりはつけていました。
今回は『当たり前だろ!!』というような話で申し訳ありませんですが、自分が頑張れるためのキーワード・・・「イメージングパワー」のつたないお話でした。