ふと気がついた事があります。
時代と意識についてです。
小生の小学生の頃、自動車のオートマチックミッションは酷評されておりました。その頃、現在は隆盛を極めるオートマ(免許にオートマの免許までありましたっけ・・・余談です)はトルコン車と呼ばれていました。オートマは『トルコン』を使っています。トルコンはトルクコンバーターのことです。
つまり流体継ぎ手?でしたっけか・・。
仕組みは油の満たされたタンクのような物の中で、エンジンで片側の羽を回し、流れを作り、反対側に用意した羽に、流れをぶつけ、力を伝えて回す。そう言う風になっている部品がオートマのメカの主要なものなので、トルクコンバーター車となっていたようです。トルコン・・なんか印象の悪い呼び名です。
燃費の悪さ、使いにくさ、ユーザーの不慣れ(クリープ現象と言うブレーキを離すと車が前に進んでしまう事などが嫌われていたそうです)などで、トルコン車は酷評され、相手にされていない感じでした。(子供心に伯父から聞いて、そう思っていました)
下手な人が乗る車の「代名詞」・・・『トルコン車』この『トルコン車』、もう一つの呼び名がありました。
これが今回のお話の着想です。この名前、凄い「問題」と思います。
ノー・クラッチ車だからノークラ車。クラッチが無い車ですから、確かにそうなんですが、ネガティブな名前ですね。
同じことをポジティブに言うとクラッチを操作しなくてもミッションが自動で変速する『オートマチック』となるわけです。正式には『オートマチック・トランスミッション』ポジティブ面から物を考えるような事、これは重要な事だと思います。
そう言えば、昭和40年頃、トヨタ自動車さんは自社のオートマ車にたしか『トヨグライド』と言う名前を付けていたと思います。ノークラよりは全然良いですね・・・。例えばノン・フロンより、エコ・フロンと言った方がポジティブですよね。
名前が違うから現在のように受け入れられたのではなく、技術の革新で、使いやすく、素晴らしくなったからなのは言うまでもないことと思います。変速装置も2速から3速、4速から5速となり最近の高級車では、オートマでも6速ミッションまであります。パドルシフト・・・ハンドルの周りでギアが変えられたり・・。トルコンの効率も相当に上がって燃費も改善されました。詳しい事はわかりませんが、トルコンが力を伝える効率が相当上がって(スリップ率の改善とか・・・)良くなったそうです。
こう言う技術の絶え間ない進歩がオートマを普及させたのだと思います。
しかし、ユーザーの意識も変われば変わるもので、ある種、軽蔑的な対象「下手な人の車」を、今や運転を職業とするタクシーなどのプロのドライバーも皆使っているのです。
『ノークラ』が『オートマ』になり、便利で楽な車として隆盛を極めるようになったのは、時代と意識の変化の例として面白いと思いました。
開発においてもネガティブ名称を反対から考えてポジティブ名称にしてみると結構、意識も変わるのかもしれませんね。
言い換えは「妙」があります。
結婚できない男、結婚しない男、人生を楽しむ男、NEWシングル・・・皆、現実は同じ「寂しい」かもしれませんが、印象が相当・・・違います。
また逆っぽいのもあります。本来ネガティブな筈なんですが、「ノーブラ」は例外的にポジティブなイメージでしょうか?では→ヌーブラは?・・・・考える必要ありですね・・・難しいです。
開発の視点のひとつとしていかがでしょうか?
「ノーブラ」が例外的にポジティブ名称だなどと暢気なことを言っているのは小生だけだ・・・とお叱りが飛んできそうです。