かつて「気まぐれコンセプト」という漫画がありました。面白い漫画で広告業界の関係者の内幕暴露的な面白さがありましたっけ・・・。
カタカナ言葉でクライアントを煙に巻くシーン・・・とかがあったように思います。好きな漫画でした。
さてさて、開発マンにとってのコンセプト・・・。
言い換えたら概念・・・考え方・・・でしょうか。
開発のコンセプトは小生などの場合、ある種、自分のやる事を明確にして仕事がブレ無い様に紙に書いておくイメージで、使っています。
「びぼーろく」備忘録とでも言うのでしょうか?
地図でもあり羅針盤でもある・・・のでしょうか。
自分で考えた事を自分が忘れ、企画があらぬ方向に迷走するなんて・・・ある訳無いよ!!と思うかもしれませんが、これが年中起きるのですから・・・現場は不思議です。
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コンセプトは企画の羅針盤!?
コンセプト・・・も分解して(種類分け等して)考えた方がより良いと思っています。
小生が気にしていますのは、『開発コンセプト』と『商品コンセプト』の使い分けです。
開発用語のスタンダードかどうか?わかりませんが、実務の経験から大切な分け方と思っているのです。
『開発コンセプト』は開発マンが何を作るかの内容を・・・担当者限り、社内限りで、確認する・・・やることの本音だと思います。
これは、お客様には見せられません。
例えば「笑いが取れて話のキッカケになるナンパ・ツカミ用のガスライター」とか・・・。これはお客様には言えませよね。
でもお客さんのこう言うライターへのニーズが、調査で掘り下げた結果でも、本当にこう言う要望だったとしたら・・・迷わずこう作りますでしょう。
しかし、お客様には『商品コンセプト』を伝えます。
この場合せいぜい「面白ライター」「ネタ・ライター」「笑えるライター」?とか言うのでしょうか。
要するに「言わずもがな」な開発の本音が開発コンセプト。それをお客様に伝達するために言い換えたのが「商品コンセプト」。
開発マンは「笑いが取れてナンパ・ツカミができるライターを作ろう」と考えて仕事をするべきだと思います。
ただ、できた物をお客様に伝達する時は、買う事の意味が「嫌なもの」にならないように言い換えます。
このことの混同は「そんなこと無いよ」「起きないよ」と考えられるかもしれませんが、実は勘違いが結構おきやすいところだと思っています。
それから、この「開発コンセプト」の仕様への反映ですが、ブレ無いで考えられれば多分活きてくると思います。例えば彼女の笑いを取るシチュエーションは・・・くらい部屋?とか・・・だから光の演出が向いている?とか・・・はたまた笑いを取るべき時は・・・隠しスイッチで必要な時だけ音を出すとか・・・それはお茶している時?歩いている時?自分の部屋?とか落とし込んで行くんだと思います。(閑話休題)
混同?には、大企業さんの実例も??あります。
わざと狙ったのかもしれませんが、ある自動車の広告で、小型ミニバン(新車)でした。キャッチフレーズに曰く・・・『二人のデート・カー』・・・。
これはかなり辛かったです。ベンチシートの車で、助手席に手が届きます。二人は密着できるのです。
でも、この車買って、気になる子をデートに誘ったらその子もおそらく同じCMを見ているでしょうから、下心丸見えと言うか、もてない男であるのが「バレバレ」と言いますか・・・。そもそも、彼女がいないから買う車みたいです・・・。
まして、女房もちの場合、若い子をそう言う下心無しでも車に乗せる時、「この先輩は私を口説きたいわけ?」などと、痛くも無い腹を探られそうで、なにか妙に恥ずかしいです。
ちなみに、これは四角い感じのカッコ良い車でしたが、小生はこのCMで気持ちが引きました。
助手席と運転席がベンチのようなシートで繋がっている、「いかにも」の車を「二人のデート・カー」というのは開発コンセプトが外部に出てしまった?のでは無いでしょうか?
商品コンセプトは「仲間の空間」とか「エンジョイ空間」とか「フレンドシップ・カー」とか、言い換えて欲しかったなーと思いました。嫌な意味合いにならないように・・・。
・・・で、まとめっぽく言いますと、あくまで開発は、ユーザーさんの深層心理に訴える物を本音で作るべきだと思います。
そして、開発マンはこの開発コンセプトに基づき商品仕様を考える時、ついつい枝葉が茂り、違う方向に向かったり、小さなギミックに惚れてしまって全体がボケてしまったり、コンセプトまで覆したりするので、適時「紙」を見直してどの仕様が幹でどの仕様が枝葉か、確認するべきだと思うのです。
スタートの段階でも、コンセプトの抽出は「送り手の独善」ではダメで、本当にユーザーさんが求める事を素直に聞き、勉強し、組み立てる事が前提であるのは言うまでもないですね。
白状しますと小生はこれをやっておきませんと、開発中に『あれ、俺は何を作っていたんだっけか??』などと、なりがちなタイプです・・・。