裁縫には抵抗感が無いです。
「裁縫」と言う意識は無く、「ものづくり」の感覚です。また道具であるミシンって凄いマシンで、本当に良くできています。
下糸のボビン(*1)が動きながら糸を繰り出し、上からは針が下りてきて上下の糸が絡み・・・縫えることが凄いですね。
(*1)上:ミシンの下糸
キャンプ用品などの手入れのために皮革用のハンドソーイング道具(*3)などで堅い生地などを縫ってみるとわかるのですが、針穴に糸の通った針を生地に刺す、針をやや戻し緩んだ上糸の輪に下糸を通し(*2)、針を抜き、上下の糸を強く引く。これが一 目ですから・・・。
(*2)上糸の輪に下糸を通す所
(*3)ハンドソーイング道具
これを機械が一瞬でやっているかと思いますと、ミシンのメカを設計している人は本当に天才的なプロだと思いますし、歴史にも興味が沸くし・・・発明した人は凄いと感じます。
小学校の家庭科では縫い物は苦手でした。たぶん宿題の雑巾などに目的意識?を持てなかったのも・・・あると思います。しかし、工夫をして「ものづくり」をしようと考えますとこれは大変便利な機械で、消費者用ですから大変操作面の完成度も高いです。簡単に使 えます。
作る機械としてミシンは優秀と思います。今ではコンピューターミシンまであるのですから・・・。
と言う事で、開発に関与してからは、ミシンは繊維製品の試作には何ら抵抗の無い機械になりました。バンドソーや他の工具と一緒です。
(どちらかと言うと繊維関連の物の試作は、メカ物の試作より楽かもしれませんし・・・。)
かくして男が裁縫・・・と言う感覚は無くなり、図面を書いて縫うと言うのは「開発」その物になりました。
この感覚は実は10年ほど前に持った感覚です。当時スタントカイト・・大型の操縦するタコ・・ですが、これにハマってしまい自作しようとした辺りがキッカケでした。
会社の仕事がらみでこのタコを体験する機会があり、一発でハマったんです。幅が2m近くある3角のタコに糸を2本付けて左右の手で引いたり押したりして操縦して飛ばすのです。空に大きな円を描いたり、四角を描いたり自由に操縦できます。空中に複雑な図形を描いたりする規定の競技やチーム競技もあります。
何しろ秒速5m以上の風があると凄い引き・・で、タコが風下正面に来た時など、引きが最大になるのですが、その場で精一杯全身で反り返っても耐え切れずバタバタとタコに引きずられるように数歩風下に歩かされるほどです。
理屈ぬきに、この「引き」に魅せられたと思います。
始めはこの体験の時に使ったのと同じアメリカ製の3万数千円もするタコを一機買いました。
ここから物作りの虫が始まったのです。自分でも一機作れないか・・・と。上手く操縦できるようになろうとするより、設計に興味が行ってしまったのです。
まずはコピーです。一機作りました。
フレームは本物通りには行かないですが、カイトを扱うお店でチューニング・改造用に売っていたカーボンの棒・・・これはアーチェリーの矢の棒(*4)の部分ですが・・・を買い求めフレームのつなぎ目はビニールのチューブ(*5)を、カイトの帆の部分はナイロンのパラシュート用の生地で・・・他の生地はカバン用のナイロンなどで代用し何しろやや設計を変えた機体を一機作りました。
(*4)アーチェリーの部品
(*5)つなぎ目のチューブ
ここをこうすると、こうなるのでは・・・と言う若干の仮説をこめて少々設計を変えて作るのです。型紙を切り抜いたり縫製したりフレームをボンドでつけたり・。
このカイトが上手く飛びました。本物と変わらないと言うか、軽くしたのでかえって弱風には強いくらいで・・・よく上がりました。
こうして色々実験的な設計も含め、10機近いオリジナルなカイトをこさえましたでしょうか・・・。現存する何機かの写真をご紹介します。(*6)
(*6)上:自作カイトの親子
下:小型を手で持った所
中にはチームフライトをやっているセミプロのような方に、「欲しい」とまで言って貰える機体もありました。・・・で本当はもっと奥の深いカイトの設計を、本人は「かじった気」になり、熱が冷めるまで結構な期間、設計・製作をやってました。立てた仮説を全て検証できてもいませんが・・・。
全くお恥ずかしい限りです。
ですが、その体験のおかげで?その後は「カバンの中身」の試作の時でも、道具も・・・精神的な面でもスムーズに事が運びました。
少しはカイトに嵌った設計製作の体験・・・が活かせたでしょうか。